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ふじたひであき
サイト運営者
兵庫県神戸市出身。自転車愛好家、フォトグラファー。

自転車のサイト『MINI VELO 道』ではミニベロとロードバイクの初心者向け情報や、楽しみ方を広げる話題などを紹介しています。自転車用品が好きで、最近は自ら製品開発にも関わっています。

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BIKE FRIDAYのウルトラライト・グースネックステムに交換したら320gも軽量化できた

タイトルテキスト「バイクフライデー・グースネックステム」と、ステムの写真。

折りたたみミニベロ「BIKE FRIDAY ニューワールドツーリスト」のステムを【グースネックステム】に交換してみました

その「効果」や「注文方法」をご紹介します。

バイクフライデーユーザーさんや、カスタム・購入を検討している人のお役に立てれば幸いです。

グースネックステムの特長

「グースネックステム」は、

  • 軽い」です。ウルトラライトタイプにしたので、大幅な軽量化になりました。
  • 乗り心地が良い」です。あのカタチには意味があるんです。
ちなみに

『グースネックステム』の正確なパーツ名称は、

  • カスタム・アジャスタブルステム(=調整式)または
  • カスタム・ウルトラライトステム(=固定式・超軽量)です。

ガチョウの首に似ているその外見から「グースネック」と呼ばれたり、グイッと曲がっているので「カーブドステム」など、別名で呼ばれることの方が多いですね。

もくじ

グースネックステムの注文の流れ

注文前に「ポジション」をじっくり煮詰める(必須)

「グースネックステム」はその構造上、アヘッドステムのように後から好きな長さに交換するということができません

高さ調節機能付き(アジャスタブル)のグースネックを選べば「高さの調節」だけはできますが、やはり「突き出し量」を変えることはできません。

それってつまり、ポジションが固まっていない人にとってはデメリットでしかなくて、本当に調節できないんです。

だから、グースネックステムを注文する前に、ちゃんと快適なポジションを見つけておくことが大切。

せっかくカスタムオーダーしてグースネックを買ったのに「ポジションが合わない…」なんてことにならないように、注文する前にできるだけしっかりとポジションを研究して、その時自分が一番納得のいくポジションでオーダーするようにしましょう。

最適なポジションは、ときどき変化するもの

将来的にポジションが合わなくなる可能性はあります。スポーツ自転車ならそれは必然です。その時は改めて違うサイズでオーダーするか、元のステムに戻すことになるでしょう。

サイズチャートで寸法を決める

グースネックステムの注文時には、写真のようなサイズチャートを使って注文するサイズを決めます。

ステムの寸法を測るサイズチャートにアヘッドステムが載せられている写真。

「ポジション出しが完了したステム」を車体から外してサイズチャートに乗せます。

このチャートによってグースネックの「付け根」と「ハンドルクランプ」の位置関係を指定すると、米国BIKE FRIDAY工場で1本ずつ製作されます。

写真のサイズチャートは大阪のBIKE FRIDAY取扱店「イトーサイクル」のものですが、サイズチャートはBIKE FRIDAYから提供されたものということで、その他の取扱店にも同様のものがあるはずです。

超アナログだけど、意外に正確

「こんな手描きの表みたいなもので正確な寸法が出せるのか(笑)」とは私も思いました。でも大丈夫。これを元に指定すれば、製作されるグースネックステムの寸法誤差は10mm以内だそうです。

サイズチャートに鉛筆で印が付けられている写真。

そもそもこのチャートを使った指定方法自体がアバウトなので、それをもとにクロモリを手作業で曲げ加工・溶接して誤差10mm以内なら上等です。その位の誤差が、ハンドル周りのポジションで一般に許容されるレベルですね。

バイクフライデーの自転車を買うとき、初めからグースネックを選ぶのはお勧めしません

自転車を買う時に「自分のポジションは正確にコレです」なんて言える人はいなくて、同じ人でも「自転車」や「乗り方」「スピード域」が変わればポジションは変わります

シート角、BBハイト、クリート位置、ハンドル落差、その自転車の常用速度域、すべて考慮して乗らずにミリ単位で指定できる人なんていませんよ。(いたらその人おかしい)

つまり、新しい自転車にはしばらく乗ってみないと、その自転車で自分が快適に乗れるポジションは解らないってことです。特にハンドル周りはポジション出しの最後ですから。

ということは、ポジション調節ができないグースネックステムを初めから使うなんて、なかなか無謀な選択です。

バイクフライデーの自転車はセミオーダーメイドで自分の身体に最適なサイズのフレームが製作されますが、その「自分に合ったサイズのフレーム」をベースに、サドルやハンドル、クランクやクリートなどのポジション合わせをする必要があるのは他のスポーツ自転車と同じです。

その時に「ステム長・ハンドル位置」が自由に変えられないなら、その時点でお手上げです。最終的にポジションを合わせられないならオーダーメイドもクソもありませんよね。

バイクフライデーの自転車、特にポケットロケットやポケットロケットプロを買う人は初めからグースネックにしたがる人が多いですが「ポジション調整はどうなってるんだろう?」って思います。

試乗したりフィッティング用ステムを使っても、しばらく走りこむのとはワケが違いますから、ちょっと乗っただけのフィーリングを基準にオーダーするのは意味の無いことです。

じゃあどうしたら良いか?それはやはり、初めはポジション調整が自由にできるステムを使うことです。

ということで、バイクフライデーの自転車を注文するという人に「最初はアジャスタブル・アヘッドステムを使うこと」を私は推奨しています。

グースネックステムを使いたい人は、納得のいくポジションを見つけてからオーダーしましょう。

せっかくオーダーするなら「ウルトラライト」がおすすめ

「グースネックステム」は、その素材(クロモリ)と独特の形状による「しなり」があり、振動吸収性が高いステムです。そして、「しなり」の具合はパイプ径によって大きく変わります。

同じグースネックステムでもアジャスタブル(高さ調節機能付き)の場合、パイプが2段のテレスコピック式で、上側のパイプ径が一回り細いので、高さ・長さにもよりますが「柔らかすぎ」と感じる人が多いでしょう。

しかも高さ調節機構のぶんパーツ点数が多く重たいので交換するメリットが少なく、いったい何のためにわざわざオーダーメイドするのか解らなくなりそうです。

もしポジション調節の自由度が必要なら「アジャスタブル・アヘッドステム」で良いでしょう。

わざわざ後からお金をかけて追加オーダーするなら、軽さを追及した「ウルトラライト・グースネックステム」を選んだほうが費用対効果は高いと思いますよ。

「価格」と「ハンドル分割加工」

グースネックステムの価格

「ウルトラライト・グースネックステム」は、日本円で通常13,000~15,000前後になるようです。(2015年時点)

価格がはっきりしないのは、円ドルの為替の影響を受けるからで、これもバイクフライデーの1つの特徴とも言えますね。

さらに、基本的にハンドルも新調する必要があります。(下記で説明)

私が購入した時は、【グースネックステム】+【ハンドル(分割加工工賃含む)】で合計25,000円でした。

ドロップハンドルの「分割加工」

ハンドルの「分割加工」とは、BIKE FRIDAY取扱店で行なっているハンドルを真ん中で分割できるようにする加工です。

BIKE FRIDAYの自転車を専用スーツケースに入れて旅に出る時に、かさばるドロップハンドルが小さくできるので、BIKE FRIDAYでは定番のカスタムの1つです。

それが前提にあるので「グースネックステム」は基本的に分割加工されたハンドル用のステムです。

グースネックのハンドルクランプ部は通常「2ボルト仕様」で、アヘッドステムの様にクランプ前面が分離せず、分割ハンドルを左右から挿し込んで固定する仕組みになっています。

また、グースネックステムのクランプ径は26.0mmなので、現在主流の31.8mmのハンドルが選べません。装着するハンドルの選択肢は比較的狭いです。

(※記載している仕様等は全てこのページ投稿時点の情報です。)

分割できなくていいなら、オーバーサイズクランプも選べる

クランプ径31.8mmに対応する「オーバーサイズクランプ」での製作を指定すれば、アヘッドステムのように前面が外れる「4ボルト仕様」になります。

ただし、オーバーサイズ仕様のほうが重量が増えます。また、オーバーサイズ仕様では分割ハンドルにできないので、スーツケースに収納できない可能性があります。分割できない代わりにハンドルの選択肢は広がります。

注文してから約2ヶ月半で届いた

「グースネックステム」を注文してから2ヵ月半待って、ようやく手に入れることができました。

完成した「グースネックステム」にハンドルが仮組みされている写真。

気になる寸法誤差は【高さ:±0】【突き出し:-8mm】でした。いいかんじ。

新しいドロップハンドルはニットーM106 NAS(リーチ78mm)にしたので、いままで使っていたTNIエルゴシャローエコ(リーチ70mm)より8mm長い

つまり、ちょうどいい(笑)

仕上がり誤差を含めて、希望通りの寸法のグースネックステムが手に入りました。

バイクフライデーはハンドメイドなので時間がかかる

バイクフライデーは少人数で手作りしているので、自転車もパーツも出来上がるまでに時間がかかります。大体2~4ヶ月くらいが普通のようです。

といっても、製作に何ヶ月もかかっているわけではなくて、たくさんのオーダーが詰まっているので作ってもらえるまでに「順番待ち」の期間があるということです。2ヶ月以上もグースネックのパイプをグィグィ曲げていたわけではありませんからね(笑)

注目はその「軽さ」、ステムの減量ビフォー&アフター

パーツ点数が全然違う、グースネックは無駄が無い

以前のアヘッドステムと、新しいグースネックステムが並べて置かれている写真。形状が大きく異なり、パーツ点数も違うことがわかる。

新旧ステムを並べてみると、ずいぶん違いますよね。パーツの数や寸法が大きく異なります。それぞれのパーツ構成は以下の通りです。

パーツ点数を比較

ウルトラライト・グースネックステム(左)

  • 一体型パイプ ×1
  • ハンドルクランプ部ボルト ×2

アジャスタブル・アヘッドステム(右)

  • アヘッドステム ×1
  • ハンドルクランプ部ボルト ×4
  • ステムのコラム側固定ボルト ×1
  • ステムライザー上管 ×1
  • ステムライザー下管 ×1
  • ステムライザー長さ調節部ボルト ×1

両者共通パーツ

  • フレーム固定部クイックレバー

「こんなに違えば、そりゃ軽いわ(笑)」というかんじです。自転車の場合、ボルト1本でも重量は変わりますから、これだけパーツ点数や寸法が違えば軽いわけですよね。

以前の「アジャスタブル・アヘッドステム」

「アジャスタブル・アヘッドステム」の重量は【600g】でした。

以前のアヘッドステムの写真。重さが600グラムあったことを示している。

これでもけっして重たかったわけではありません。肉薄のクロモリで作られたパイプは軽く、私が使っていた「3T」のステム(ボルトは全てチタン)はアヘッドステムの中では最軽量の部類です。

しかし、やはり「アジャスト機構」がある分、パーツ点数が多いですよね。上側のパイプには「調整シロ」があるので余剰の長さがあります。これも不要な分は無駄な重量ですね。

新しい「ウルトラライト・グースネックステム」

「ウルトラライト・グースネックステム」の重量は【280g】でした。

新しいグースネックステム(ウルトラライト)の写真。重さが280グラムであることを示している。

結果は320gの軽量化です。これは自転車においてはかなり大きな数字ですよね。

ウルトラライト・グースネックステムは、ステムライザー付け根からハンドルクランプまでを、強度と軽さのバランスが取れる最短のカーブで繋いでいるので、形状・寸法に一切の無駄がありません。

そして「アジャスト機構を持たない」ことで、これ以上削れないくらいの軽さを実現しています。

グースネックステムに交換して解った効果

グースネックステムが装着された「バイクフライデー・ニューワールドツーリスト」の写真

乗り心地が良い

『グースネックステム』は適度な「しなり」があるので、路面から伝わる振動をステム全体が上手く吸収してくれます。

ミニベロはその構造上、振動吸収性が低くてガタガタとしんどいもの。バイクフライデーの自転車はそのあたりも考えて作られているので、比較的乗り心地は良いほうですが、それでもやはりミニベロです。潰しきれない振動があるんですよね。

「グースネックステム」に交換したら、今まで吸収し切れずに手に伝わっていた振動の「カド」が取れて、ハンドルから伝わる振動が滑らかで心地良い感触になりました。

サスペンション効果で、段差の通過スピードが向上

「サスペンション」というとオンロード系の自転車では基本的に“要らないもの”と思われがちですが、「サスペンション=路面の凹凸で失速しないための路面追従性」と考えれば、その必要性が解るはず。

ロードバイクにサスペンションはありませんが、あの大きなホイール・長いフォークには適度な路面追従性があります。レースグレードのタイヤが、よく転がるのに意外に柔らかかったり乗り心地が良かったりするのも同じ理由です。

走行中の振動を人間(=一番重たい部分)に伝えないこと、重たい部分を上下に揺らさないことが、速く走るために必要なんです。

また、路面から突き上げる振動を手に感じているとき、自転車は同じ強さで手で路面に押し付けられています。路面に押し付けられているとき、自転車は僅かな凹凸をも拾って速度が低下します。手に伝わる振動を緩和すれば、自転車が路面に押し付けられる力も緩和されます。

要するに、適度な振動吸収性を持つことは、速く走るために必要な要素なんです。

BIKE FRIDAYの開発者たちがこれを意識して作ったかどうかは解りませんが、グースネックステムには、そんな「速さの秘密」が隠されていて、ちょっとしたガタガタ道が今までよりも楽に速く走れるようになりました。

オンロードバイクの足回りの硬さ・振動吸収性の理想のバランスは「フロントが柔らかく・リアが硬い」です。グースネックステムはその理想的バランスに近づけてくれます。ポケットロケットプロや、ポケロケのモノステー仕様なんかは、グースネックを使えば本当に理想的な足回りに仕上がりそうですね。

フロント重量の軽減で走りが軽い

例えば「振動吸収性」なんて無くたって、車体が・特にフロントが軽ければ、自転車は段差・凹凸をクリアしやすく軽快に走れます。

「ウルトラライト・グースネックステム」は【高い振動吸収性】+【超軽量】。もう言うことなしなんです。

ステム交換といえば、普通は単にポジションを変えるだけですが、バイクフライデーのこのグースネックの場合、ステムを変えるだけで走りが変わるということが解りました。

自転車が前に進むってことは「フロントが越えていく&リアが蹴っていく」の同時進行&連続サイクルです。その効率を良くしていくことが、自転車を乗りやすく・速くすることにつながります。

まとめ

グースネックステムを試してみて良かったです。軽量化・乗り心地アップなどのメリットは大きいですね。

ただ、何度も言うように「グースネックはポジションが固定」なので、オーダーのハードルが高く、またせっかく作ったグースネックのポジションが後々合わなくなる可能性はあります。

私は今後「ポジションが異なるグースネック」をもう1本・2本用意して「走行スタイルに合わせてステムを変える」なんて使い方をしてみようかと考えていますよ。

バイクフライデー乗りは、一度はグースネックを使ってみて

「グースネックステム」は見た目はヘンテコなカタチで、あまり好みじゃないという人もいるでしょう。だけどこの乗り心地の良さ・乗りやすさをぜひ一度は体験してほしいです。

先述の通り、バイクフライデーの自転車を買う時に「初めからグースネック」という選択は推奨しませんが、じっくり走りこんで納得のいくポジションが見つかったらオーダーしてみてはいかがでしょう。

以上、「バイクフライデーのグースネックステム」についてのお話でした。

ご紹介した内容が、必要な人の参考になれば幸いです。

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