ミニベロにリアキャリアを装着してサイドバッグを使えるようにしてみた|参考例・注意点等を紹介
自転車にキャリア(荷台)があると、色々と便利な使い方ができます。
例えば、
- 大容量のサイドバッグを装着する
- 荷物や折り畳みチェアなどを固定する
- キャリアにカゴを固定してバッグや荷物を積む
等など。
筆者は最近、ミニベロロードに「リアキャリア」を装着して、サイドバッグ(パニアバッグ)を装着できるようにしました。
ということで今回は「ミニベロにリアキャリアを装着してサイドバッグを使えるようにするカスタマイズ」について、必要な情報をまとめてお届けします。
「ミニベロにリアキャリアを装着してバッグや荷物を載せられるようにしたい」と考えている人の参考になればと思います。
リアキャリアの装着は比較的かんたんなカスタマイズですが、注意・確認すべきポイントが割と多いので、真剣に検討している人は、ぜひしっかりとお読みください。
自転車にリアキャリアを装着する準備
キャリア用ダボがあることを確認する
自転車の車種によっては、キャリアを装着するための「ダボ穴」がフレームに用意されているものがあります。
リアキャリアの装着に使えるダボ穴は、次のようなものです。
リアエンド付近に設けられたダボ穴
シートステーに設けられたダボ穴
キャリアを装着しようと考えている自転車に、上の写真のようなダボ穴があれば、キャリアの装着を試すことは容易です。
ただし、装着予定のキャリアが上手く取り付けできるかどうかは、キャリアと車体の相性も関係するので、試してみないと解らないこともあります。
キャリア用ダボが無い自転車にダボを追加できるパーツもある
キャリア用のダボ穴が無い自転車にも、後付けパーツでダボ穴を追加することで、リアキャリアを装着できるようになります。
例えば、以下のような製品があります
▼ミノウラから発売されている、シートポストにリアキャリア用のダボを追加できるパーツ。
▼アキワールドの、シートポストにリアキャリア用のダボを追加できるパーツ。いくつかのサイズがあります。
▼日東から発売されている、シートステーにダボ穴を追加するためのパーツ。いくつかのサイズがあり、シートステーの太さに合ったサイズを使います。
▼VIVAから発売されている、リアエンド付近にダボ穴を追加するためのパーツ。
※リアエンドに金具を追加するタイプの製品は、自転車との相性問題が起きやすく、問題なく使える車種と、そのままでは使えない車種があります。金具の干渉部分を削るなどの加工が自分で出来る人には問題になりませんが、加工ができない人や、面倒くさいと思う人は、別の方法を選ぶのが無難です。ただ、買ってみたら上手く使えたという場合もあるので、ダメもとで試してみる価値はあるかもしれません。
ちなみに、ダボ穴がある自転車でも、場合によっては「一部のダボ穴を使わずに、後付けのダボ穴を利用する」というケースがあります。(これは使用者の判断による)
確認したいポイント
市販のリアキャリア製品の中には、ダボ穴が無い自転車にも装着できる「シートポストに固定するタイプのリアキャリア」もありますが、サイドバッグの固定には適さないものが多いです。
サイドバッグを装着するためには、キャリア上面の荷台部分だけでなく、サイドバッグを支える側面のステーが必要なのです。
サイドバッグを使うことを考えている場合は「ダボ穴に固定するタイプのリアキャリア」を選択するのがお勧めです。
◎この記事では、「サイドバッグ」を装着することを前提に、「ダボ穴に固定するタイプのリアキャリア」を使用・紹介しています。
適合するリアキャリアを用意する
今回私は、20インチのミニベロに対応する市販の汎用リアキャリアを2種類購入しました。
車種専用のキャリアがメーカーからオプションパーツとして用意されている場合は、メーカー純正パーツを使用するのが無難です。
車種専用のキャリアが用意されていない場合や、車種専用のキャリアを使いたくない場合に、このような汎用製品を使うことになります。
参考製品① ギザプロダクツのミニベロ用リアキャリア
自転車パーツブランド「ギザプロダクツ」から発売されている、20インチのミニベロ向けのリアキャリア。
ネットショッピングなどでも比較的入手しやすいので、一部のミニベロユーザーの間では定番化していますね。
袋にまとめられた付属品は「キャリアの上部前側のステー部品」。
キャリアの上部前側のステー部品は、可動域の範囲内で、ある程度自由に調節できるので、幅広い車種に対応します。
このキャリアの重さは約500gです。
◎ちなみに、取り付けステーの長さが適合して正常に取り付けできる場合は、20インチ未満の車種(16インチ・18インチ等)にも使用できる場合があります。
参考製品② サイクルベースあさひのミニベロ用リアキャリア
こちらは、サイクルベースあさひから発売されている汎用リアキャリアで、20インチから24インチの車種に対応する製品です。
こちらも、袋にまとめられた付属品は「キャリアの上部前側のステー部品」。
キャリアの上部前側のステー部品は、可動域の範囲内で、ある程度自由に調節できるので、幅広い車種に対応します。
さらに、キャリア下部のステーの長さが調節できるので、車種に合わせて・またはお好みで、キャリア位置を高くor低くできます。
キャリアの重さを計ってみたところ、約430gでした。
このような「汎用のキャリア」は、幅広い車種に装着できるように、取り付け部品が調節できるようになっていますが、あらゆる車種に必ず装着できるというものではありません。
購入して装着を試してみた結果、「どうやっても上手く付かない…」という場合もあります。
装着できなかった場合の選択肢は以下の2つです。
- 装着するのをいったん諦める
- 金具やダボを追加・加工・自作・延長するなどして装着できるように工夫する
基本的には「付かない可能性を理解して、付かなかったら文句を言わずに諦めるor自分で工夫する覚悟ができる人向けの製品」だと思います。
汎用部品の使用は「装着できないこともある」という可能性について理解・留意の上でやってみるカスタマイズですよ。
装着例① ラレーRSPにリアキャリアを装着
クロモリフレームのミニベロロード「ラレーRSP」には、上で紹介したギザプロダクツのリアキャリアを装着しました。
キャリアの取付け箇所をクローズアップ
取り付け時、まずはキャリアの下側のステーを、車体のリアエンド付近のダボ穴に固定します。
次に、キャリア上部前側のステーを、車体のシートステーのダボ穴に合わせて調節して固定。
このステーの長さ・角度を調節することで、さまざまな車種に対応できます。
上手く付くように、そして、キャリア上面がなるべく水平になるように、自転車に合わせてしっかりと調節することが肝心ですね。
各部を調節・固定したら、このようなかんじでリアキャリアの装着が完了です。
サイドバッグを装着した様子
「ラレーRSP」にリアキャリアとサイドバッグを装着するとこんなかんじです。
今回は、手持ちのBROOKSのサイドバッグを装着してみました。
ラレーRSPのようなクラシカルな雰囲気の自転車には、同様にクラシカルなデザインのバッグが似合いますね。
リアキャリア&サイドバッグを装着したことで、かさばる荷物を自転車で運べるようになりました。
キャリアに赤色反射板を追加してみた
ちなみに、このギザプロダクツのリアキャリアは、後端にテールライトや反射板を装着できる形状になっているので、「赤色反射板」を追加してみました。
今回は、トピークから発売されている円形の赤色反射板を購入。ボルト1本で簡単に取り付けできるアイテムです。
こんなかんじで、ギザプロダクツのリアキャリアに赤色反射板を追加できました。
このような円形の反射板は、ラレーRSPのクラシカルな雰囲気にマッチしますね。
このギザプロダクツのリアキャリアは、「何も付けない状態」よりも「反射板かテールライトを装着した状態」のほうが見栄えが良いような気がします。
ちなみに、テールライトと反射板が1つになった、キャットアイの「リフレックスオート」も、このリアキャリアにぴったりだと思います。(リアキャリアに装着できるマウント部品が付属)
今回、初めはリフレックスオートを付けようかと考えていました。しかし、ラレーRSPの車体全体の雰囲気を考慮すると「小さくて丸い反射板」が似合うと考え、トピークの赤色反射板を選びました。自転車に合わせて選択するのが良さそうです。
装着例② バイクフライデーにリアキャリアを装着
折り畳みミニベロロード「BIKE FRIDAY ニューワールドツーリスト」には、あさひのリアキャリアを装着してみました。
リアキャリア周辺をクローズアップ
こちらも、リアキャリアの各ステーを車体側のダボ穴に合わせて調節・固定すると、このようなかんじで装着完了です。
先述の通り、この「あさひのリアキャリア」は高さを調節できます。今回私は「4段階高く」調節して取り付けました。
ちなみに、見た目のバランスの良さを重視するなら、後輪とリアキャリアの間の空間が小さくなるように、低めに調節すると良いでしょう。
しかし、今回のバイクフライデーの自転車の場合、フレームのエンド部分の形状が特殊であるため、キャリアの高さ調節を4段上げなければフレームと干渉する状態でした。
リアキャリアの位置はやや高めになりましたが、これが結果的に「サイドバッグを装着する場合には最適な高さ」だったと思います。次の写真をご覧ください。
サイドバッグを装着した様子
「BIKE FRIDAY ニューワールドツーリスト」にリアキャリアとサイドバッグを装着するとこんなかんじです。
サイドバッグを装着すると、「旅する自転車」というこの自転車の本来のスタイルが見えてきますね。
サイドバッグには「パン屋さんで買ったパン」や「カメラの三脚」なども収納できるので、私にとっては“旅のアイテム”というよりは“日常の荷物入れ”という感じです。
フロントキャリアと比べるとどう違う?
写真からもお解りいただけるように、私は「BIKE FRIDAY ニューワールドツーリスト」にフロントキャリアを装着しています。
これまではフロントキャリアにサイドバッグを装着するスタイルで使ってきました。
そして今回、リアキャリアを装着し、サイドバッグの位置を前から後ろに試しに変えてみたのでした。
サイドバッグを「フロントキャリアに装着」するのと「リアキャリアに装着」するのとでは、どのような違いがあるのか?
まずは一般的な違いを簡単にまとめると以下の通りです。
- サイドバッグをフロントキャリアに装着すると、荷物の重さがハンドリングに影響を与えることがある(ただし、バランスが取れていれば、小径車特有のハンドルの不安定さが弱まり、安定感を得ることもできる)
- サイドバッグをリアキャリアに装着したほうが、荷物の重さによるハンドリングへの影響は少ない
- サイドバッグをフロントキャリアに装着する場合、足との干渉問題が起きることはほとんどない
- サイドバッグをリアキャリアに装着する場合、足との干渉問題を絶対にクリアする必要がある(詳しくは次項で解説↓)
上記以外にも、フロントキャリアorリアキャリアの使用感にはどちらも一長一短があると思いますが、自分が納得できるほうを選ぶと良いでしょう。
次に、私の自転車における「リアキャリアorフロントキャリア」を比較した感想。
今回私は「リアキャリア+サイドバッグ」のスタイルも良いなと思ったのですが、リアキャリア無しの自転車のシルエットも好きなので、リアキャリアを常用するかどうか迷っています。
今まで通りの「フロントキャリア+サイドバッグ」のスタイルなら、【荷物の積載性】と【シンプルなシルエット】が両立できます。
でも、リアキャリアにサイドバッグを装着した姿も格好良い。迷います…(笑)
私は今後しばらく、その日の荷物の内容によってリアキャリアを着脱したり、フロントキャリアorリアキャリアを使い分けることになりそうです。
もっとも、前後両方のキャリアに荷物を満載する場合は「前後どっちを使う?」と考える必要はありませんね。
リアキャリアにサイドバッグを装着する場合の注意点
リアキャリアにサイドバッグを装着する場合、ペダリングをする足とバッグが干渉しないことが肝心です。
リアキャリアが正常に取り付け出来たとしても、サイドバッグを付けると足と干渉することがあります。
ミニベロの場合、次の2つのポイントを意識すると「足とバッグの接触」を予防できる可能性が高くなります。
- リアでもフロント用サイドバッグを使用する(フロント用の方が小さい)
- サイドバッグをできるだけリアキャリアの後端に寄せて固定する(足から遠ざける)
私も上記の2点を押さえているので、上でご覧いただいた写真の状態で足とバッグの接触は起きません。
◎足とバッグがギリギリのところで接触する場合、リアキャリア自体の再調整や、サイドバッグの固定位置の調節で解消できることもあります。
◎大径ホイールの自転車でも、リアキャリアに積んだサイドバッグと足が接触することはあるので、「バッグと足が接触する/しない」は、常にギリギリのところなのです。
◎積載位置を調節して「本当にギリギリだけど、足とバッグは接触しない」という状態になればOKだと思います。
車種によっては、そもそも自転車のフレームのリアセンター長(=BBから後輪車軸までの距離)が短いことが原因という場合もあります。この場合、積載位置を調節しても足とバッグの干渉問題を解消することは難しいでしょう。
目安として、リアセンター長が最低でも40cm程度はあったほうが良いと思います。それ未満だと足とバッグが接触する可能性が高くなります。
サイドバッグを装着すると足とバッグが接触し、調節しても解消できないという場合は、次の「別の方法」を選んでみてはいかがでしょう。
- ミニベロ用ではなく、大径ホイールの車種用のリアキャリアを使う(積載位置が高くなるので、足が接触しなくなることがあります)
- サイドバッグではなく、リアキャリアの上に載せる「リアバッグ」を使う
- リアキャリアに乗るサイズのリュックサック、ショルダーバッグなどを、ベルトでリアキャリアに固定する
リアキャリアにサイドバッグ(パニアバッグ)を装着することを考えている人は、上記のポイントも参考にしてください。
おすすめのサイドバッグは?
自転車用のサイドバッグ・パニアバッグは色々なものが売られていますが、「オススメを1つ教えて」と聞かれたら、私は「オルトリーブのサイドバッグのフロント用」をお勧めしたいです。
オルトリーブのサイドバッグのフロント用
オルトリーブのサイドバッグ(パニアバッグ)のラインナップの中で、「スポーツローラー」という名称の、合計容量25リットル(12.5L×左右2個セット)の製品がフロント用サイズです。
また、オルトリーブの「バイクパッキングシリーズ」の中の「グラベルパック」というサイドバッグは、上記のスポーツローラーと基本形状が同じでフロント用サイズのサイドバッグです。
オルトリーブのサイドバッグがおすすめな理由
オルトリーブのサイドバッグをお勧めする一番の理由は「私が長年使ってきたから」なのですが、良いところを具体的に2つ挙げると次の通りです。
完全防水である
もしもサイクリング中に急な雨に降られた時に、濡らしたくないものをオルトリーブのサイドバッグに入れておけば雨から守れます。
他のバッグに入れていた荷物の一部を「雨の時だけオルトリーブのサイドバッグに避難させる」というような使い方もできます。
基本的に「防水仕様のバッグ」は開け閉めが面倒なので、自転車用のバッグがすべて防水仕様である必要はないと思いますが、他のバッグが防水でなくても、サイドバッグだけは防水仕様だといざという時に便利ですよ。
マウントシステムが優れている
サイドバッグは、使用する度にキャリアに固定する必要があります。また、キャリアの形状や自転車に合わせて調節が必要な場合もあります。
オルトリーブのサイドバッグは、キャリアに合わせて調節するのが簡単です。
例えば、上で挙げた「足との接触を避けるために後ろ寄りにズラす」などの調節が素早くできます。
そして、調節後の着脱はほぼワンタッチで素早い着脱が可能。頻繁にキャリアに着脱する場合でも全然面倒くさくないですよ。
下の写真は、私が長年使っている古いサイドバッグで、オルトリーブのクイックロックシステムの中でも古い「QL1」が採用されている製品です。
今となっては旧型である「QL1」ですが、その完成度は高く、基本的な使用感はその後の「QL2」「QL2.1」にもそのまま受け継がれています。
ちなみに、この記事中の写真にある「BROOKSのサイドバッグ」も、マウントシステムはオルトリーブのものを採用しているので、マウントシステムに由来する使い勝手は同等なのです。
ミニベロに装着するなら「フロント用サイズ」が最適
一般に、リア用のサイドバッグのほうが大きく、フロント用のサイドバッグは少し小さめです。
ミニベロに装着する場合は、基本的には「フロント用サイズ」が適していると思います。
「車種」や「キャリアの形状」によっては、リア用サイズのサイドバッグをミニベロに装着できる場合もあります。
しかし、サイズの違いが「使用の可否」や「見た目のバランス」を左右する分かれ目になることがありますよ。
リア用を選んで失敗する例
- 「フロント用」なら足に接触しないのに、「リア用」だと足と干渉して使えない。
- 「フロント用」なら見た目のバランスが取れるけど、「リア用」だとアンバランスになる。
例えば「安くて大きいから」みたいな理由で、よく考えずにサイドバッグを購入すると、ほとんどは「リア用サイズ」だと思います。
そこで、初めから「フロント用サイズ」が用意されているオルトリーブのサイドバッグを選んでおくと、「大き過ぎてダメだった」という大失敗は避けられるはずです。
自転車、特に小径車にバッグを装着する場合、バッグが大き過ぎると問題が起きることもあるので、必ずしも大が小を兼ねることはないんですね~。
まとめ
今回は「ミニベロにリアキャリアを装着してサイドバッグを使えるようにするカスタマイズ」について、必要な情報をまとめてお届けしました。
自転車にキャリアを装着するのは、比較的かんたんで実用的なカスタマイズです。
そして、キャリアにサイドバッグや荷物を積載すると、「自転車で運べる荷物」や「自転車で出来ること」の幅が広がって、とても便利に使えます。
キャリアの導入は、基本的にはパーツ交換ではなく「着脱のみ」なので、
- ツーリングなどで必要な時だけ装着するという使い方もできるし、
- 不要な時や上手くいかない時はキャリアを取り外して元に戻すことも容易です。
ということで、「リアキャリア + サイドバッグ」などの使い方をしてみたいと考えている人は、ぜひ前向きに検討してみてください。
ただし、本文中でお伝えした通り、「キャリアの装着」や「サイドバッグの使用」に際しては、注意点や確認すべきポイントがいくつかあります。
「やってみよう!」と思った人は、いま一度、注意点等をよくご確認の上で、検討を進めてみてくださいね。
以上、この記事の内容が、必要な人のお役に立てれば幸いです。