自転車のライトの明るさはどのくらいあればいいのか?何ルーメン必要か?
自転車のライトを購入するとき、その「明るさ」は気になりますよね。
- どのくらいの明るさスペックを選べば良いか?
- 何ルーメンのライトを買えばいいのか?
そこが問題です。
ということで今回は「自転車のライトの明るさ」について、
その「基準」や「比較」「選び方」を含めて、押さえておきたいポイントをお伝えします。
あなたが自転車のライトを選ぶ時の参考になればと思います。
◎記事の最後では、走行スピード/明るさ別に選ぶ参考製品もご紹介しています。
1. 法令基準は「10メートル先の状況が確認できる明るさ」
まずはじめに、自転車のライトの明るさは、法令でその基準が決められています。
自転車のライトの「明るさの基準」
法令では「自転車のライトの明るさ」は次のように定められています。
「白色または淡黄色で、夜間に前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる明るさ」
これは各都道府県ごとに「道路交通法施行細則」のなかで定められていて、
全国的にほとんどの地域で同様の内容で施行*されていますよ。
(*一部の地域では距離が「5メートル」等の場合もあります。)
ちなみに「交通上の障害物」というのは【落下物】や【駐車車両】のほか、自転車においては【路面の段差】や【転倒の原因になるもの】も含めて考えるのが現実的です。
「10メートル先の段差等を発見できる明るさ」と考えると、法令基準は理にかなっていると思いますね。
それはスペックでいうと「何ルーメン」くらい必要なのか?
結論からいうと、自転車のライトの明るさは【およそ300ルーメン以上】あることが望ましいです。
『夜間走行中に10メートル先の状況が確認できる明るさ』
実質的にこの基準を満たす最低ラインが300ルーメン前後です。(見え方の比較イメージは後述)
ネットショッピングなどで自転車のライトを探す時は、例えばAmazonで「自転車 ライト ルーメン」と検索すると、商品名にルーメン値の記載があるものが優先的に表示されるので、その中から300ルーメン以上の製品を選ぶと、十分な明るさのライトを選べます。
一般に、ライトの明るさを表す単位には「ルーメン」と「カンデラ」が使われます。
カンデラ(≒最も明るい部分の光の強さ)よりもルーメン(≒出ている光の全体量)で見たほうが、数値と実際の明るさ感覚のズレが少なく、明るさを比較・イメージしやすいです。最近は自転車用ライトのスペック表記もルーメンに統一されつつありますね。
ライトの「点灯」と「点滅」
自転車のライトには2通りの使い方がありますよね。
- 点灯して前方の路面を照らす「前照灯」としての使い方
- 点滅させて自転車の存在をアピールする「アピールライト」としての使い方
どちらの使い方も安全のために有効ですが、前照灯としてのライトは「常時点灯」することが原則で、明るさの基準もライトを「点灯」で使うことが前提になっていますよ。
一方、「点滅モード」で使うライトはもう少し暗くてもいいはずです。
「点滅モード」単体での使用は、ライトが消えてる間に路面状況の見落としが起きるので、「点滅モード」を使う時は常時点灯のライトと併用しましょう。
2. 僕らが思うよりも、もう少し明るいライトが必要ということ
300ルーメンというと「かなり明るい」と感じる人もいると思います。
たしかに一般的な懐中電灯などと比べれば相当明るいですよね。
とはいえ、自転車にはそのくらいの明るさが必要なのです。
その理由を解説します。
「明るい」と思ったライトも走ってみると「暗い」
試しに200ルーメン程度のライトを手に持って道路を照らしてみると、
- 「じゅうぶん明るいじゃないか」
と思ってしまうのですが、いざ自転車に取り付けて走り出すと、こんどは
- 「なんだか、200ルーメンでは頼りない…」
と感じます。
停止状態では「この明るさで十分だ」と思っても、
実際に走行して速度が加わると明るさが足りなくなるんですよね。
これがライト選びの盲点。速度は明るさを要求します。
自転車はクルマ以上に路面がよく見えなければならない
自転車は段差や落下物にとても弱い乗り物。クルマならそのまま踏んづけて通過できるようなトラップも、自転車では命取りになることがあります。
つまり自転車はクルマを運転するとき以上に、路面がよく見えていなければなりません。
となると、走行中に最低でも10メートル先の路面状況がわかるくらいの明るさは必要ですね。
それがライトの明るさスペックでいうと、概ね「300ルーメン前後~」ということです。
光の中心は10メートル先を照らせない
ライトから出る光の強さはどこも均一ではなく「明るい部分」と「暗い部分」があります。
自転車のライトは「中央部が明るめ」の製品が多く、一番明るい部分以外は徐々に暗くなっていきます。(特殊な配光タイプもある)
さらに、自転車のライトはやや下向きに、光の中心を数メートル先の地面に向けて点灯するのが基本です。正面や10メートル先に向けて使うことは通常はありません。
仮に10メートル先を狙ってライトを点灯すると、こんどは近くの路面が暗く・見えにくくなるのです。おまけに、遠くに向けたライトは人の目を直撃しやすく、対向者を眩惑させてしまうので、これはいけませんね。
つまり、
- 自転車のライトはやや下向きに、光の中心を数メートル先の地面に向けて使うのが基本でありマナー
- 結果的に、10メートル先を照らすのはライトの一番明るい部分ではなく、光が弱くなっている部分
ということ。
なおさら明るいライトが必要というわけですね。
「他者への配慮」と「自分の視界の確保」を両立するためには、十分な明るさのライトを、やや下向きにして使う必要がある。
3. 明るさの違いで「見え方」はどう変わる?実感を解説
ライトの明るさが変わると、路面や前方はどのように見えるのか?あるいは見えないのか?
参考用に、人通りがない道で10メートル先に三角表示板を置いて写真を撮ってみました。
とはいっても「写真では実際の感覚は上手く伝わらない」ので…
明るさ別に実際に走行して感じることをコトバで解説しますね。
テスト条件等について
- 三角表示板を設置し、そこから巻尺で10メートルを計測した位置で自転車のライトを点灯しました。三角表示板の後側は土手です。
- 「ライトの向き」は実際の走行時と同じように、光の中心を正面ではなくやや下向き(数メートル前方)にして撮影していますよ。
- 写真と実際の見た目は結構違います。光の広がり方はライトによって異なります。ということで、以下の画像はイメージとしてお考えください。
明るさ【200ルーメン】は低速走行なら使える
200ルーメンの光は、路面をマイルドに照らしてくれる。「街路灯」くらいの明るさです。
三角表示板を見ると「10メートル先まで光が届いている」ことは確認できますが、
10メートル先の路面や、すぐ後ろにある壁や土手はよく見えません。
走ってみると、近くの路面は見えるけれど一番明るいところ以外は不明瞭。「これでは段差やスリップしやすい箇所を見落とすかも」というのが実感です。
やはり300ルーメン未満のライトは、明るさが十分とは言えないですね。
ふだん実際に200ルーメンクラスのライトでも走行している私の感覚では、
スピードを出さず、人が走るくらいのペース(最大時速15km前後)でゆっくり・慎重に走るならこの明るさでも問題ないかなというかんじ。
もっとスピードを出すなら、200ルーメンやそれ未満の明るさでは不安を感じますね。
明るさ【400ルーメン】は時速20km台まで安心して使える
300ルーメンを超える400ルーメンの光は、路面にコントラストを付けてくれる。
目の前から数メートル先まで路面の質感が浮かび上がり、10メートル先の路面も見えている。
上の写真では、三角表示板の後ろの壁や土手も見えているので、これなら歩行者や駐車車両をより早く発見できるということが解りますよね。
さらに、近くの路面状況もある程度ハッキリと見てとれます。段差などを発見できますね。
400ルーメンクラスの明るさで実際に走っている時の感覚は、
明るさが300ルーメンを超えれば、時速20km台までなら必要最低限の視界が確保できるというかんじ。
時速30kmを超えたあたりから、300ルーメンでは明るさが物足りなくなってきますが、そこまでペースを上げないなら安心して使えますね。
明るさ【1200ルーメン】は時速30km台でも十分な視界
1000ルーメンを超えてくると、ライトに照らされている路面は夜でも「曇天の昼間」のような明るさになる。
速度が出ていると見落としやすい路面のギャップや小石などもハッキリと視認できる。
写真では、「黄色い落ち葉」に立体感が出ているのが解りますね。もしこれが石ころや落下物なら、遠くからハッキリ見えていて良かったなぁと思えます。
アスファルトのひび割れや、マンホールの蓋なども完全に丸見えです。
1200ルーメンの明るさで実際に走っている時の感覚は、
この明るさなら時速30km台でも安心して使えるというかんじ。
ロードバイクやクロスバイク、ミニベロロードで快調に走るなら、この明るさは心強い。
◎しかし、時速40kmを超えるともう1ランク明るいライトがほしいとも感じますね。もっとも、暗い時にはそこまでスピードを上げないことが賢明かもしれませんが。
4. ライトの明るさを使い分ける
自転車のライトの明るさは、時には使い分けることも必要です。
スイッチによる「明るさ切り替え」や「明るさの異なるライト」を、
「走行スピード」や「周囲の状況」に合わせて上手に使いこなしましょう。
走行スピードに応じて、ライトも明るく
「走行スピード」と「必要なライトの明るさ」は比例します。
走行スピードが速いほどライトはより明るく、より遠くまで見える明るさが必要です。
スピードが上がるほど1秒間に進む距離は長くなり、安全マージンとして前方に確保すべき距離が伸びるからです。
例えば、50ルーメン程度の暗いライトを点けて時速40kmで走るのは危険。(明るさ不足)
あなたの走行スピードに合った明るさのライトを使いましょう。
明るさを切り替えてバッテリーを温存
どんなライトも「フルパワーではそれほど長時間使えない」ということは覚えておきたいポイント。
また、ずっとハイスピードで走り続けるわけではない時や、街路灯が整備された明るい都市部など、ライトの明るさがそこまで必要ないと感じる場面もあります。
そんな時は、あえてライトの明るさを下げてバッテリーを温存することも上手な使い方です。
速度や環境にあわせてライトの明るさを切り替えましょう。
他者への「眩惑」に気をつけて
明るさ300ルーメンを超えるライトは、光を直視するとかなり眩しいです。
明るいライトを使うなら、歩行者や対向車両が「まぶしくて前が見えない!」という状態にならないように、
まずは「光の中心が数メートル前方を照らすようにやや下向きに使う」を徹底すること。
さらに必要なら「ライトの向きを変える(もっと下向きに)」「明るさを下げる」などの配慮をしましょう。
他にも「歩行者や他の自転車とすれ違う時だけライトを手で覆って光を遮る」など、一時的に光を弱める工夫はできますよね。
これはクルマのハイビーム/ロービームの使い分けと同じで、
明るいほどよく見えるけれど「周囲の人の視界確保にも気を配る必要がある」ということ。
周囲の人の視界にも気を配ってライトを使うことで、より「安全性」が高まります。
その場の状況に応じてライトの向きや明るさを使い分けましょう。
まとめ
ということで今回は「自転車のライトの明るさ」について、
その「基準」や「比較」「選び方」を含めて、押さえておきたいポイントをお伝えしました。
まとめると、
- 自転車のライトの明るさはおよそ300ルーメン以上必要で、
- 走行スピードが速いほど、より明るいライトが必要です。
- スピード出す人は、その速度に見合った明るさのライトを使いましょう。
- 明るいライトを使うなら「他者への眩惑」に気を付けましょう。
この記事でお伝えした内容が、
あなたが自転車のライトを選ぶ時の参考になれば幸いです。
それでは、安全な自転車ライフを!
【参考】走行スピード/明るさ別に選ぶ、おすすめライト製品例
最後に、私も使っているキャットアイのライトから「走行スピード/明るさ別」に参考製品をピックアップしてご紹介します。
時速15kmくらいまで対応【200ルーメン】クラス
「VOLT200」は時速15km程度までの速度でゆっくり走るなら十分使えるライト。
配光特性が絶妙で明るさの割によく見えます。軽いのでサブライトとしての使用もオススメ。
時速25km以上にも対応【400ルーメン】クラス
「VOLT400」は時速20km台後半くらいまで安心して使えるライト。コンパクトさと明るさ・軽さのバランスがいいですね。
時速35km以上にも対応【オーバー1000ルーメン】クラス
「VOLT1700」は時速30km~40km台での使用に耐えるライト。スポーツバイクで使うなら、この圧倒的な明るさに助けられます。
スピードを出す人や、本当のまっ暗闇の中を走る時は1000ルーメンクラスのライトを選ぶことを推奨します。
こちらの記事もぜひ参考に
自転車用ライトの関連記事です。あわせて参考にしていただければと思います。
以上、『自転車のライトの明るさはどのくらいあればいいのか?何ルーメン必要か?』という記事でした。