406と451を比較|それぞれの違いとメリット&デメリット
ミニベロ(小径車)のタイヤ&ホイールのサイズには色々な種類があり、中でも最も一般的でポピュラーなのは「20インチ」です。
そして、20インチには【406】と【451】という2つの種類がありますよ。
そのため、
- どっちを選べばいいの?
- 乗った感じはどう違うの?
- なぜ、20インチは2種類あるのか?
という疑問を持っている人は多いですね。
そこでこのページでは、
「406」と「451」を比較して、
それぞれの違い・特長・メリット・デメリットを解説します。
あなたの自転車選びや疑問解決の参考になればと思います。
- 筆者は同じ1台の自転車に406・451両方のホイールを装着・換装して実際に乗り比べ検証をしたので、406と451の違いをかなり正確に感じ取ることができました。(貴重な検証です)
- 車種・フレームの違いによる誤差を含まない、純粋にホイールサイズによる違いを検証・体験することに成功しました。
- 現在ではこのページと同様の説明をしているサイト・ブログ等が複数ありますが、その多くはこのページの情報を参考にしています。
「406」と「451」は規格が違う
「乗り比べたフィーリングの違い」を解説する前に、まずは規格の違いについてお話しておきます。
小さいほうが「406」、大きいほうが「451」
どちらも同じ『20インチ』という呼び名ですが、「406」と「451」は規格・直径が違います。
とてもシンプルにいえば、「小さいほうが406」で「大きいほうが451」です。
難しく考えなくても、まずは「20インチには2種類あって、小さいほうが406、大きいほうが451」ということだけ知っていればOKです。
そして次はちょっと難しい話。
タイヤ&リムの「ここ」が406or451
「406」や「451」という数字は、タイヤ&リムのビード部分の直径(mm)を示します。
「ビード部分」とはタイヤとリムを互いに引っかける部分で、リム外縁より少し内側です。
タイヤにはリムに引っ掛けるための芯(=ビード)が入っていて、リムにはビードが収まる段差があります。
この「ビード部分の直径」を基準に、タイヤ&リムの規格を定めているのがETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation:欧州タイヤ&リム技術機構)で、リムやタイヤには「インチ表記」とは別に「ETRTO(エトルト)表記」があります。
- 20インチや24インチなどの「インチ表記」は単なる“呼び径”であり、
- 406や451などの「ETRTO表記」が正確なサイズ(規格)を示しています。
したがって、406と451は数字が違うのでサイズが違う・異なる規格であることが解りますね。
406と451では「ビード部分の形状」も少し異なります。
それぞれ、
- 406がHE(Hocked Edge)
- 451がWO(Wired On)
と呼ばれるビード形状で、その違いを含めて「20インチHE406」「20インチWO451」と表記されることもあります。
その差は小さくて、大きい
「406」と「451」の差はリムの直径で約45mm、タイヤ外径で30~50mm程度の差があります。
こうして数字で見ると小さな差に見えますが、自転車のホイールにおいては、直径が30~50mmも違えば結構大きな違いであるといえます。
タイヤ、リム、チューブがみんな違う
「406」と「451」は規格が異なるので、タイヤ・リム・チューブ全てがそれぞれ別物です。
「451のホイール+406のチューブ」の様に異なる規格のものを混ぜて使うことはできません。
- 「406規格」のホイールは、タイヤ・リム・チューブすべて406規格のものを使用します。
- 「451規格」のホイールは、タイヤ・リム・チューブすべて451規格のものを使用します。
車体・フレームにも互換性は無い
同じ「20インチ」と呼ばれるサイズのミニベロでも、採用されているホイールが「406」であるか「451」であるかによってフレーム(車体)の作りも違います。
一口に「20インチ」と呼ばれていても、
【406ホイールを履いた自転車】と【451ホイールを履いた自転車】は別物の自転車です。
「406のミニベロ」に「451のホイール」を使用することや、その逆は基本的に不可で、どうしてもする場合は別途改造が必要になります。(筆者はこれをやりました)
ちなみに
「同じ呼び径(インチ)で、複数のサイズ規格(ETRTO)がある」という例は20インチ以外にもあります。タイヤやホイールを選ぶ時に「インチ表記」だけを見ていると間違ったサイズを買ってしまう可能性があるので、必ず「ETRTO表記」を確認する必要がありますよ。
ここまでは、基礎知識として「406と451の規格上の違い」について解説しました。
ここからは「乗り比べて解ったフィーリングの違い」のほか、「タイヤの選択肢」など実用面での違いも含めて解説します。
「406」の特長 メリット&デメリット
「406」の大まかな特長
【406】のミニベロは「ミニベロらしい軽快な走り」と「そこそこ使える走行性能」をバランスよく併せ持っています。
街乗りやポタリング、ちょっとしたサイクリングにもぴったりなので、入門モデルからマニアックなモデルまで数多くのミニベロに【406】が採用されています。
「走行速度」は人が歩くような徐行レベルから、時速15~25kmくらいのスピードレンジが最適。
ちなみに、世に出回っている「20インチ」の自転車の大半は、この【406】です。
「406」のメリット
ミニベロらしい軽快な走り
ペダリングが軽く、加速が楽で、ストップ&ゴーが苦にならない。そんなミニベロならではの軽快さは【451】よりも明らかに上です。信号待ちなどで停止する機会が多いほど、この軽快さが有利に実感できます。
そこそこ使える走行性能
まともなタイヤを装着していれば、スピードの乗りはそこそこ良く、20km/h巡航くらいは誰にでも可能です。また【451】よりも太めのタイヤが履けるので、多少の段差やラフな路面にも対応できます。
タイヤの選択肢が多い
【406】のタイヤは【451】と比べて比較的たくさんのラインナップがあり、色々な種類・銘柄から選ぶことができます。
例えば「乗り心地が良いタイヤ」や「スピードが出るタイヤ」「滑りにくいタイヤ」など、タイヤの選択肢の幅の広さを活かして、自分好みの乗り味を手に入れることができます。
「406」のデメリット
速度の維持が苦手
「ミニベロは速度を保つのが苦手」、そんなミニベロらしさがしっかりと感じられるのも【406】の特徴です。
ペダリングの脚を止めた瞬間からの速度の低下率が大きいので、高い速度を維持するにはペダリングをし続ける必要があります。ちょっとしんどいですよ。
長距離を走るには、相当の体力が必要
「速度の維持が苦手」ということは、同じ条件で走れば疲労感がより大きいということ。それは、走行距離が長くなればなるほど大きな負担となって体にのしかかってきます。
ただし、ペダリングをしている間の走行感は軽いので、無理せずペダリングし続けることができるなら、ツーリングやロングライドも平気です。体力があればカバーできる問題といえますね。
「406」の総評
「ミニベロらしさ」と「走行性能」のバランスが良い
【406】のミニベロは、良くも悪くもミニベロらしさがよく表れていると言えるでしょう。
「ミニベロらしい軽快さ」は【451】よりも強く、「走行性能」はサイズが近い16インチ・18インチよりも優れている、そんなちょうどいい性能バランスが実感できます。
高い走行性能を求める人には少し物足りなさを感じるかもしれませんが、スピードにこだわらずに、のんびり走るなら【406】のミニベロはとても快適な自転車です。
街乗り・ポタリングにぴったり
【406】のミニベロの軽快な乗り味は、ストップ&ゴーが多い街乗りやポタリングにぴったりで、のんびり・ぶらぶらと走るスタイルがよく似合います。
長距離を走るには少ししんどい【406】ですが、街中や観光地などを自由に動き回るなら逆に【406】のほうが楽で疲れにくいです。
また、走行性能が低すぎるということはないので、体力さえあればツーリングやロングライドにも十分使えるポテンシャルを秘めていますよ。
「451」の特長 メリット&デメリット
「451」の大まかな特長
【451】のミニベロは「ミニベロらしいコンパクトさ」と「スポーツ自転車の走行感」を上手く兼ね備えています。
ホイール径は【406】とそれほど変わらないのに、より高い走行性能を持っていて、長距離走行にも向いています。ミニベロでツーリングやロングライドをしたい人にぴったりです。
「走行速度」は時速20~35kmくらいのスピードレンジが得意で、ホイール径が大きいスポーツ自転車と一緒に走ることも比較的容易です。
「20インチ」のミニベロのうち、乗り心地や軽快さよりも「走行性能」を重視したモデルに【451】が採用されています。
「451」のメリット
スポーツ自転車の走行感
【451】のミニベロは、【406】と比べると走行性能が一段上で、スピードの乗りが良く、速度の維持もいくらか楽です。
「ミニベロのコンパクトさに、スポーツ自転車の走行感をプラスした」、そんなかんじの性能バランスです。スポーツ自転車の経験者なら、30km/h以上での巡航も容易なはずです。
ツーリング・ロングライドが楽に
ミニベロは、ロードバイク等スポーツ自転車と比べると、長距離を走るのはしんどいです。それでもあえてミニベロでツーリングやロングライドに出掛けるなら【451】の走行性能が役に立ちます。長距離を走るなら【406】やそれ以下のホイール径のミニベロよりもずっと楽です。
「451」のデメリット
ミニベロらしい軽快さが半減
【451】のミニベロは、その高い走行性能と引き換えに「ミニベロらしい軽快さ」を失っています。【406】と比べると「加速が重い」「ストップ&ゴーがしんどい」といった違いがあり、街乗りやポタリングには【406】のほうが快適です。
タイヤの選択肢が少ない
【451】のタイヤは選択肢が非常に少ないです。数少ないラインナップの中身は「スポーツ系の細い高圧タイヤ」に偏っていて、「乗り心地が良い太めのタイヤ」はほとんどありません。
フレームも同様で、【451】のミニベロは細いタイヤを履くことを前提にスリムに作られているものが多く、太いタイヤを履くとホイールが収まらない場合があります。つまり、【451】を選ぶということは、走行性能を重視することが基本前提であるといえます。
また、【451】は【406】と比べて「少数派」で、あまり一般的なサイズではないので、451のタイヤやチューブを取り扱っているお店は少ないです。買えるお店を調べておくとか、あらかじめ予備を用意しておくこと、自分で修理・交換ができることが必要です。
「451」の総評
長距離を走るなら「451」を選びたい
ロングライドやツーリングをあえてミニベロですることにメリットはほとんど無いのでオススメはしませんが、それでもあえてミニベロで長距離を走るなら【451】をお勧めします。
ただし、やはり「ミニベロらしい軽快さ」は薄くなるので、「たまに長距離も走るけど、普段の街乗りやポタリングの快適さを重視する」という人には【406】のほうが合っていると思います。
走行性能を重視することが前提
【451】のミニベロは、基本的に「スポーツ系の細いタイヤ」を使って走行性能を最大限に活かすこと。そうでなければ、「ミニベロらしい軽快さを失って、走行性能も活かさない」―――そこにもはや【451】を選ぶ意義はないでしょう。
まとめ
406・451は、見た目の差以上に大きな違いがある
自転車は、ホイール径が大きいほど「高速走行」が得意で、ホイール径が小さいほど「ストップ&ゴー」が得意である、という特性があります。
また、その自転車にとって効率の良い「速度域」もホイールサイズによって異なります。
「406」と「451」の間にもそのような違いがあり、ホイール径の差が走行性能やフィーリングに違いを生んでいます。そして、その差は見た目以上に大きいです。
この『違い』があるからこそ、「20インチ」には406と451の2種類が存在するのだと思います。
406・451どちらを選ぶかで「自転車の性格」が選べる
「406」と「451」はどちらも同じ「20インチ」と呼ばれるもの同士なので、ミニベロらしいコンパクトさはそれほど変わりませんが、
自転車に装着されているホイールが406・451のどちらであるかによって自転車の性格が変わってきます。どちらかを選ぶということは「自転車の性格を選ぶ」ことに等しいです。
- 街乗りの快適さや乗り心地の良さを重視するなら「406」ホイールを採用したモデル
- 走行性能やスピードを重視するなら「451」ホイールを採用したモデル
というふうに選べば、より自分のスタイルに合った性格のミニベロに出会えるはずです。
406・451それぞれに良さがある
「406」と「451」は、それぞれが異なる特徴を持っていて、適したシーンが異なります。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、「メリット」を活かすことで、それぞれの良さを実感することができます。
一概に「どちらが優れている」というものではないので、自分のサイクリングスタイルに合った使い易い方を選ぶのが正解です。
ちなみに
自転車の「乗り心地」や「走行性能」は【空気圧調節】や【タイヤ交換】によってある程度調節できるので、406・451それぞれの特長と合わせて覚えておくと良いでしょう。
以上、ご紹介した内容があなたの自転車選びや疑問解決の参考になれば幸いです。