【お知らせ】イトーサイクルのブロンプトン用ライトブラケットの問題報告&改良部品の提供について
今回は、大阪の自転車ショップ「イトーサイクル」のオリジナル商品である
「ブロンプトン用キャットアイライトブラケット」を、2017年1月以前に購入された方へのお知らせです。
2017年1月以前に販売された同製品において、一定の条件下で問題が発生する可能性が判明したため、
そのご報告と、今後の対応について、イトーサイクルに代わって当サイトからお知らせします。
- 製品の改良が完了し、この問題は解決されました。現在販売中の製品にはこの問題はありません。
- 2017年1月以前に購入された方には、無料でアフターサービスが提供されます。
1. 概要とまえがき
このアイテムは、2016年7月からイトーサイクルで販売されていて、
たいへん便利なアイテムだったことから、2016年10月には当サイトでご紹介させてもらいました。
さらにその後、製作に必要な材料が入手困難に陥った際には、早期の販売再開のために「材料のメーカー訪問」と「組み立て作業」に協力させてもらいました。
私自身もこのアイテムのユーザー・消費者の1人であり、これまでに約6ヶ月に渡って使用してきました。おそらく誰よりも長期間、ハードに使ってきたはずです。
その結果、ある条件下において不具合が発生する可能性が判明したため、
イトーサイクルに問題点を報告するとともに、今後の対策を提案しました。
本記事では「判明した問題点についての説明」と「今後の対応」について、
イトーサイクルに代わって読者・ユーザーの皆さんに説明・報告します。
このアイテムはイトーサイクルのオリジナル商品であり、私は責任者ではありませんが、現在は製造・販売に関わった関係者でもあります。
私がこのアイテムをサイトでご紹介したことで、多くの皆さんがこのアイテムを購入されたこと、そして製作や供給にも協力してきたという関係上、
問題点についても共有・対応していく必要があると思うので、本件について私からも皆さんにご報告し、問題解決に向けて対応していくことにしました。
2. 問題点についての説明
◎以下、「ブロンプトン用キャットアイライトブラケット」を「パーツ」と表記します。
判明した問題点
- 一定の条件下において、パーツの取り付け位置が下方にズレたり、最悪の場合はパーツが脱落する可能性がある。
- ただちに発生するわけではないが、条件が揃えば上記の問題が発生する可能性がある。
問題事象の発生条件
- パーツを車体に固定する際にナットの締め付けが不十分な場合。
- 通常想定されるよりも激しい振動を連続的に加えた場合。
◎上記1・2の一方または両方の条件を満たす場合に、問題事象が発生する可能性があります。
問題が発生した場合に起きること
もし問題事象が発生した場合にどうなるか?
それはブロンプトンの車体にフェンダー(泥除け)が装着されているか否かによって結果が異なります。
フェンダーが装着されている場合
- フェンダー付きの車体の場合は、問題発生時にパーツはフェンダーの上に乗るため、完全に脱落することはありません。
- ただし、発生条件を満たす場合においては、取り付け位置がズレるという問題が発生する可能性があります。
フェンダーが装着されていない場合
- フェンダー無しの車体の場合は、問題発生時にパーツがどこにも留まることなく脱落・落下する可能性があります。
- 万が一パーツが脱落した場合、パーツはまずはタイヤの上に落ち、次に地面に落下することになるでしょう。ライトが装着されていれば、落下によりライトが破損する可能性もあります。
この問題は適切に取り付けられた状態での通常使用においては、発生する確率は比較的低い問題です。
私はこれまで約6ヶ月に渡りこのパーツを使用してきましたが、その間に問題が起きたことはありませんでした。また、これまでに他のユーザーさんから問題が発生したという報告はありません。
したがって、現在このパーツをご使用中の方は、基本的には安心してお使いいただきたいと思うと同時に、余計な不安を煽るつもりはありません。
しかし、一定の条件を満たす場合に問題が発生する可能性があることは事実であるため、万が一にもユーザーの皆さんに不利益を生じさせないために、何らかの対策が必要ということを、私からイトーサイクルに提案させていただきました。
3. 実際に問題が発生した事例
前述の通り「この問題の発生確率は低い」と考えられますが、実際に発生したのです。
ブロンプトンで走行中、悪路の激しい振動により問題が発生
先日、私がブロンプトンで走行中、路面状態の悪い場所を走行しました。
凹凸が多いガタガタの道を、振動に耐えながら進みました。
ブロンプトンの車体も、路面の凹凸によって激しく振動したことでしょう。
しばらくすると、前輪のフェンダーがタイヤと接触していることに気付きました。ガリガリと音がするのです。
その後、路面状態が良いスムースな場所を走っていても、フェンダーとタイヤが接触する音が聞こえます。
どうしてフェンダーがタイヤに接触するようになったのでしょうか?
ズレたパーツがフェンダーを押し下げていた、フェンダーが無ければ落下していた
停車して原因を探ってみると、「ライトブラケット」が下方にズレて、フェンダーを押し下げていたのでした。
フェンダーがあったため、パーツはそれ以上ズレることはなく、脱落・落下は免れましたが、
激しい振動によって、パーツの取り付け位置がズレる可能性があることが判明したのでした。
また、フェンダーが無ければパーツが落下していたということもすぐに理解しました。
◎さらに、パーツを取り付ける際のナットの締め付けが甘ければ、より小さな振動でも問題が発生する可能性があることは考えれば明らかです。(私は適切なトルクで固定していました)
同様の不具合が発生する可能性がある
前述の通り、私はこれまで6ヶ月に渡り使用してきて、その間に問題が発生することはありませんでした。
しかし今回、初めて「問題が起きる可能性」をこの目で確認することになりました。
「激しい振動」や「取り付けミス」などの要因1つでこのような問題が発生する可能性があると判った以上は、そのリスクを解消すべきだと思いました。
◎その後すぐにイトーサイクルに問題を報告し、対策の実施について提案をした結果が、現在お伝えしているこの記事の内容となります。
4. 今後の対応策と流れ
リスクを解消する「改良部品」を提供します
問題の事象は、
- 「一定の条件下においてパーツが下方にズレること」と
- 「ズレが発生した場合、最終的に脱落・落下する可能性があること」です。
したがって、パーツが下方にズレることを防止すれば、問題が解消される考えられます。
パーツのズレを防止する「改良部品」を製作しご提供します。
パーツの取り付け部分に「改良部品」を追加することでリスクが解消されます。
すでにご購入された方には「改良部品」を無料で提供
すでにパーツを購入された方、現在ご使用中の方には「改良部品」が無料で提供されます。
- 「イトーサイクルの店頭で購入された方」は、店頭で改良部品を受け取ることができます。
- 「Amazonで購入された方」は、購入時の配送先に改良部品が送付されます。
改良部品を入手されるまでの間もパーツをお使いいただくことは可能ですが、いま一度取り付け状態をご確認いただき、パーツに異常が無いか定期的に確認してお使いください。また、激しい段差の走行はお控えください。
今後販売する商品には「改良部品」を付属
今後販売される商品は「改良部品」が標準付属品となります。
これにより、今後はズレたり・落下する心配がない製品になります。
改良部品の提供が開始される時期
この記事の公開日(2017/01/07)現在、改良部品の準備が進行しています。
設計&テストが完了し、これより金属加工メーカーに改良部品の製造を発注する段階です。
2017年2月上旬頃より改良部品の提供が開始される見込みです。
改良部品の準備が整いしだい、この記事内・この下に追記し、私のTwitterおよび当サイトのFacebookページでもお知らせします。
お待たせしました。1月より進めてきた改良部品「サポート金具」の準備が整いました。
2017年2月5日より順次供給が開始されています。代金は無料です。
- イトーサイクルの店頭で購入された方は、店頭で受け取ることができます。イトーサイクルをお訪ねください。
- Amazonで購入された方は、購入時の配送先に送付されます。発送手続きはすでに完了していて、数日中に配送される見込みです。郵便局の「ゆうパケット」で届きます。
◎改良部品「サポート金具」について詳しくは下記を参照してください。
【追記】改良部品「サポート金具」について
改良部品「サポート金具」は、以下のようなものです。
「ライトブラケット本体」の取り付け部分に追加することで、問題が解消されます。
サポート金具は「ライトブラケット本体」と同じ角度(86°)に曲げ加工を施した、厚さ0.8mmのステンレス製の部品です。
「ライトブラケット本体」と「アールワッシャー」の間に追加して取り付けます。
サポート金具は「ライトブラケット本体」にフィットし、ズレが起きないように支えます。
サポート金具を使用することで、ライトブラケットの上下位置が完全に固定されます。
たとえナットの締め付けが不十分であったとしても、ライトブラケットの位置がズレることはもうありません。
取り付け方法など詳しくはこちら
ライトブラケットの取り付け方法は「製品紹介ページ」で写真付きで詳しく紹介しています。
製品紹介ページの内容も「サポート金具」に合わせて更新しました。必要であれば参考にしてください。
今後は「サポート金具」が付属品に
今後は「サポート金具」が製品の標準付属品となります。
2017年2月以降に新たに販売されるライトブラケットには、従来の「アールワッシャー」に加えて「サポート金具」がセットになります。
【その他】製品に関する補足情報と考察
以下は当該アイテムおよび問題事象に関連する補足情報と、私の個人的な考察です。
これらも私からお伝えできる情報ですので、この項にまとめて記しておきます。
取り付け部分の形状がネックに
パーツの取り付け位置がズレたり、落下する可能性があることには、パーツの形状も関係しています。
このパーツの車体側取り付け部分にはブレーキのシャフトが通るようになっていて、その形状は「丸穴」ではなく「U字型スリット」になっています。
「激しい振動」や「締め付け不足」など、問題の発生原因が揃ったとしても、「丸穴」であれば問題は発生しません。「U字型」だから起きるのです。
このことは、容易に想定できることでもありますが、「U字型」でも通常使用においては問題が発生することはないというのも事実です。(実際、6ヶ月にわたって異状なしでした)
そのためイトーサイクルさんは「U字型」で問題はないと判断されたのではないでしょうか。
さらに、「U字型」であることには次のような意味やメリットもあります。
「丸穴」か「U字型」か
現状は、取り付け部分の形状が「U字型」であることにより、パーツの取り付け作業が比較的簡単にできるようになっています。
一方、「丸穴」仕様の場合、パーツを取り付ける際のクリアランスが十分に確保できず、結果的に「取り付け作業の難易度が高くなること」や「フェンダーを傷つける可能性があること」が確認されています。
問題が起きないのであれば、「U字型」を採用することは有力な選択肢です。
しかしこのたび、問題が起きる可能性が浮上したため、その対策を実施することになったのでした。
最初から潜んでいたリスク
このパーツは、現在のもので2代目です。2016年7月から販売されていたものが初代。その後、2016年12月から販売しているものが2代目です。主要部品の金具が新しくなりました。
この新型金具を製作するにあたって、素材選びから始まり、形状や寸法の見直しを重ねてきましたが、その中で「取り付け部分の形状をU字型から丸型に変更する」というプロセスはありませんでした。
基本的な形状は、初代のものを忠実に再現したのです。しかし今回、その形状に問題発生の可能性が浮上。
新型金具は、初代の基本形状を受け継いだ結果、リスクも引き継ぐ格好になっていたのです。
つまり、この問題は新型金具を使った2代目特有の問題ではなく、初代が生まれたその時からリスクは潜在していたということです。
今後のさらなる改良に期待
イトーサイクルでは、これまで様々なオリジナルアイテムを作り出してきたと同時に、必要があれば常に改良を続けてきました。
今後、このアイテムをさらに改良してゆく過程で、取り付け部分の形状を「U字型」から「丸穴」に変更する可能性もあるでしょう。
また、今回の一件で「改良部品」が標準付属品になり、その結果「取り付けし易さというユーザビリティ」と「安全性」が両立できます。この形態を持続するのも選択肢の1つになります。
今後検討を重ねて、最良の選択をしてゆくことになるでしょう。
まとめ
2017/01/07時点のまとめ
ひとまず、現在お伝えできることは以上です。
- 今後「改良部品」の準備がととのい次第、情報を追記します。
- さらに、「改良部品」の提供が開始される際には改めてアナウンスします。
【追記】2017/02/09時点のまとめ
供給が開始された「サポート金具」を使用することでリスクは解消されます。
- これまでに購入された方は、本文に記載の方法で対策部品をお受け取りの上、パーツに追加してお使いください。
- 今後販売される商品には「サポート金具」が標準付属品となります。
- 対策が完了し、ライトブラケットの販売が再開されました。Amazonまたはイトーサイクル店頭で購入できます。
本件について私からお伝えできることは以上です。ご心配をお掛けしました。
以上、イトーサイクルに代わって問題報告&改良部品の提供についてお伝えしました。
最後に
私もまた皆さんと同じ消費者・ユーザーの1人です。
私自身が誰よりもこのアイテムを使ってきたからこそ、図らずも一番に問題を発見する役を務めてしまいました。
そして、当サイトを見てこのアイテムを購入してくれた人が不利益を被ることがないよう、今回このような形で私も対応に当たらせてもらいました。
今後も「行動力」や「発信力」が必要な時には、できる範囲で協力したいと思います。
関連する記事