自転車が段差を通過するときの衝撃を緩和できるペダリング方法を教えます
自転車に乗っていると、路面の段差や凹凸はストレスですよね。
ゆっくり走っていてもガタンと揺れたり、タイヤがつまづいたように引っかかることもあります。
スピードが出ていると、小さな段差・凹凸もガガガガッと車体や体に響きます。
でもこれ、ちょっとしたコツで緩和できるんです。その方法をコトバでお伝えしてみます。
これを知れば、段差に弱いミニベロも、高圧タイヤのロードバイクも、段差のストレスが今までより小さくなりますよ。
- 普通の道路上にある数cm程度の段差・凹凸を楽に通過するためのテクニックです。
- リカンベント等の特殊な自転車を除くあらゆる自転車で実践できます。
- サスペンションの有無やタイヤの大きさはあまり関係ありません。
- その自転車で通過できる段差なら、今までよりも楽に通過できるようになります。
段差を通過する時は1時~2時のペダルに乗る
メカニズムなど細かいことをグダグダ説明するよりも、体感してもらったほうが話が早いので、単刀直入にその方法から話しましょう。
1時~2時のペダルとは?
自転車のペダルが付いている「クランク」の角度を、時計の針に例えて説明するのはスポーツ自転車では一般的です。
イラストの赤色で示したクランクの角度が、時計でいう12時~3時なのは解りますよね。
この考え方で1時~2時のクランク位置に注目してみてください。
普通は右側のクランク&ペダルを基準に考えます。左右のクランクは180度反対に付いているので、左右を間違えて考えないように。
1時~2時のペダルに乗ると段差を通過しやすくなる
自転車が段差に差しかかってフロントタイヤが段差(凸)に触れるその瞬間に、タイミングを合わせて1時の位置でペダルに乗ります。
「ペダルを踏む」と言わずに「ペダルに乗る」と言ったのは、ペダルに体重を乗せるという意味です。
ペダルへの荷重のかけ具合で言葉のニュアンスが変わりますね。
- ペダルを軽く踏む
- ペダルを強く踏む
- ペダルに乗る(←ペダルに体重を乗せている状態)
ペダルに完全に体重を乗せれば、立ち漕ぎみたいにサドルからお尻が浮くはずです。1時のペダルの上で一瞬立ち上がると考えてもOKです。
段差を乗り越える瞬間に1時~2時のペダルに乗っていれば、自転車は段差を乗り越えやすくなります。
クランクは回るので、「2時まで乗る」と意識しなくても勝手に2時まで回ります。
むしろ、2時を意識するとタイミングが遅れやすいので、「段差に差し掛かる瞬間に1時のペダルに乗る」を確実にできるように1時に集中しましょう。
1時~2時の位置とは、言い換えれば「クランクがてっぺんを過ぎて前方→水平へと回っていくところ」。これは左右どちらのクランク・どちらの足にも交互に訪れますね。つまり左右どちらでも方法は同じです。
「衝撃」が小さくなる
この「段差を越えるペダリング」が成功すると、路面から突き上げる力=自転車が持ち上がる力は、クランクを1時から2時へと回す力に変換されます。
つまり自転車は衝撃を吸収しながら加速するということ。自転車は段差を乗り越えて前に進もうとするし、身体に伝わる衝撃はクランクの回転運動に吸収されて小さくなります。
段差を踏んで「処理」する感覚
この「段差を越えるペダリング」をすると、今までの「段差にぶち当たる感覚」や「衝撃に耐える感覚」が消えて、「段差を踏んで処理する感覚」になります。実際にやってみればすぐに解ると思いますよ。
慣れれば、走行中に突然目の前に現れた段差や凹凸も、慌てずに「踏む」ことでクリアできるようになります。急ブレーキや急ハンドルで避けるよりも安全ですよね。
踏んでいいのは2時まで
次のことを事実として覚えておいてください。メカニズムについては今は考えなくていいです。
- 1時~2時のペダルを踏んでいる時、自転車は段差を乗り越えやすくなります。
- 2時~6時のペダルを踏んでいる時、自転車は段差を乗り越えにくくなります。
2時の前後で自転車の挙動が変わります。だから段差には1時~2時のペダルで進入する必要があるんです。
段差が連続する場合は、次の段差も1時のペダルに乗る
通過する段差が1つだけなら、1時でペダルに乗って、段差を越えて2時過ぎまで回ったらそのまま普通にペダリングを続ければOK。
しかし、段差・凹凸が連続する場合は、次の段差でまた1時のペダルに乗っている必要がありますね。
左右のクランクは180度反対についているから、右足が2時を過ぎて下に向かう時、反対の左足は1時に向かって上がってきます。1時の位置は左右交互にやってきます。
左右どちらかの足で「段差」と「1時」のタイミングを合わせることで、連続する段差も踏んでクリアできます。
「段差」と「1時」のタイミングの合わせ方
1. 段差を待つ
前方に段差を発見したら、ペダリングする足の動きをを止めたり・遅くして、段差に差し掛かる瞬間に「1時」のペダルに乗れるように準備する、という方法。
段差が単発の場合や、次の段差までの間隔が長い場合に使えます。
2. ギアを軽くする
走行中にギアを軽くすれば、足はクルクル素早く回りますよね。その状態なら、ペダルが1時の位置に頻繁にやってきます。
つまり段差にタイミングが合わせやすくなり、偶然タイミングが合う場合もあります。
路面に凹凸が連続するガタガタ道や、ランダムなリズムで段差が現れる時に使えます。
実践・上達のヒント
メカニズムを知りたいなら「自転車の教科書」にヒント
私がこの「段差の走り方」を学んだきっかけは、書籍「自転車の教科書」でした。
自転車を楽に・速く・安全に走らせる乗り方「おじぎ乗り」を学んで習得する課程で、この「段差の走り方」も覚えました。
「おじぎ乗り」をすれば、段差だけでなく、あらゆる場面で自転車を楽に・速く・安全に走らせることができるようになるので、興味がある人はこの機会に練習してみてください。
なぜペダリングで段差の乗り越えやすさが変わるのか?
そのメカニズムについてもっと詳しく知りたい人は、
書籍「自転車の教科書」の第二章・第1項を読んでみてください。そこに重要なヒントがありますよ。
なるほど!と解るセミナー動画
また、下記の動画でもこの「ペダルの位置によって段差の乗り越えやすさが変わること」が簡単に解説されていますよ。
上の動画は「自転車の教科書」の著者であり、元プロ自転車選手の堂城 賢(たかぎ まさる)氏がセミナー(座学)で自転車の乗り方をアレコレ教える様子。
これらの資料もぜひ参考に「自転車って奥が深いんだな~」ということを知って・楽しんでいただければと思います。
まとめ
ということで今回は、筆者が実践している「自転車で段差のストレス・衝撃を緩和するペダリング方法」をご紹介してみました。
ペダリングの意識1つで、自転車は段差を通過しやすくなり、衝撃やストレスが幾分小さくなります。
実際にやってみると「車道から歩道に上がる際の数cmの段差」や「道路上の継ぎ目」など、
いつもストレスに感じていた路面の凹凸が、今までよりも小さくなったような感じがするはずです。
上手くできるようになると「タイミングを合わせて段差を処理するのがむしろ快感」みたいに感じられますよ。
自転車にとっての「段差」というストレス要因を上手く処理すれば、よりも快適に自転車に乗れるようになるので、豆知識として覚えておいて、ときどき練習してみてはいかがでしょう。
言葉だけで伝達・理解するのは難しい内容のため、ご紹介した書籍・動画などの資料も参考にしてくださいね。
もしあなたが「やってみたけど全然変わらない」「効果が解らない」という場合は、おそらくまだコツがつかめていない状態。
- 「段差」と「1時」のタイミングが合っていないか、
- 2時以降のペダルを踏んでいる、
- 何か違うことをしてしまっている
などが考えられます。上手くできるように繰り返し練習してみてください。
練習する際は、転倒などしないように安全には気を付けてくださいね。責任は負えません。
どうしても上手くいかない場合は、上記「自転車の教科書」などの資料を参考に、自転車の基礎を学習・練習してみてください。そしたらきっと出来るようになりますよ。[/box]
こちらの記事もぜひ参考に
「自転車の教科書」で学べる自転車の乗り方の基礎「おじぎ乗り」について、下記の記事でご紹介しています。