試乗レポート|Tern Vektron(ヴェクトロン)はどんな自転車?実際に見て・触って・乗ってみた
2018年春に発売予定(5月予定)の電動アシスト付き折りたたみ自転車、
TernのVektron(ヴェクトロン)。
Vektron(ヴェクトロン)はいったいどんな自転車なのでしょう?
- ミニベロに電動アシストってどうなの?
- 実際に走ってみたらどんなかんじ?
- どんな使い方ができるの?
- どんな人にオススメ?
興味はあるし、気になるところもたくさんあるけど、実物を見て・触って・乗ってみないとわからないことは多いですね。
そこで、発売前のVektronに実際に試乗させてもらってきました。
ということで今回は「Tern Vektron」について、その「概要」「特徴」から「乗ってみた感想」までを全部まとめて、
試乗レポート/実走インプレッションをお届けしてみます。
電動アシスト付き折りたたみ自転車「Tern Vektron」に興味のある人の参考になればと思います。
- この記事でご紹介するのはVektronの日本国内向けモデル「Vektron S10」。
- 試乗だけでは知ることができないスペック面や開発サイドの情報については、Tern日本総代理店AKIBOの担当者さまにお話をうかがいました。
- 記事中の写真は発売前のテスト車につき、実際の製品では一部外観・仕様が変更される場合があります。
概要|Tern Vektronとは?
まずはVektron(ヴェクトロン)について大まかに説明・確認しておきますね。
ミニベロメーカー「Tern」の自転車
Tern Bicycles(ターン・バイシクルズ)は、いまもっとも勢いがあるミニベロ・折り畳み自転車メーカーの1つです。(クロスバイクも作ってる)
優れたデザインのミニベロ&折り畳み自転車を作り続けてきた「Tern」だからこそできた、新カテゴリーの自転車、それが「Vektron」です。
折りたためる電動アシスト自転車「Vektron」
「Vektron」は、街乗りや持ち運びに便利な「折りたたみ自転車」に「最新の電動アシストシステム」をプラスした自転車。
別の言い方をするなら、「ただの電動アシスト自転車」ではない「折りたためる電動アシスト自転車」ということ。
近年、世界的にeBikeブームが巻き起こる中、折り畳み自転車を得意とするTernならではの答えがVektronに集約されています。
欧米ではすでにVektronが発売されていて、早くも人気車種に。日本でのVektronの発売は色々な業界から注目されています。
電動アシスト付き自転車は日本でも普及していて、街中でも多く見かけますが、そのほとんどがいわゆる「ママチャリ」「シティサイクル」ですよね。
それに対して、ロードバイクやクロスバイクなどの「スポーツ自転車」に電動アシスト機能を搭載したものが近年欧米を中心に登場し、人気沸騰。日本のメーカーからも発売されています。
そんな「電動アシスト付きのスポーツ自転車」のことを、自転車業界では「eBike」とか「E-Bike」と呼び、新たな自転車カテゴリーとして認知されはじめていますよ。
Tern Vektronの3つの特長
Vektron(ヴェクトロン)の魅力をシンプルに表すなら、それは次の3つの特長にまとめることができます。
折りたためる
「折りたためる自転車」とそうでない自転車では、使い勝手や出来ることに大きな違いがあります。
自転車を折り畳むことができれば、例えばお店や建物に持ち込んだり、コンパクトカーに積んでお出かけしたり、圧倒的な省スペースで収納することができます。
しかも、Vektronは電動アシスト付き。「折りたたみ自転車」と「電動アシスト機能」を1つにすることで、その魅力がますます高まっていますね。
航続距離が長い
Vektronは、走行性能では不利な小径車でありながら、最長100kmの航続距離(電動アシスト走行が可能な距離)を実現しています。
一般的な電動アシスト付き自転車の航続距離は、各社平均で70kmくらい。100km走れるものはほとんどありません。
実際に連続100km走るかどうかはともかく、「バッテリー切れ」の不安が遠ざかることで、安心して乗ることができますね。
充電が早い
電動アシスト付き自転車は、充電が必要です。充電にかかる時間は短いほど便利ですよね。
Vektronの充電時間は「フル充電で2.5時間」「50%充電なら1時間」で完了するそうです。
最長100km走れる電動アシスト付き自転車として、この充電時間はとても早いと思います。
ちなみに、充電には「充電アダプター」を使用。
アダプターを携行すれば出先で充電することも可能です。
Tern Vektronの車体をチェック
それでは、Vektronの車体を見てみましょう。
基本形状は人気車種「Verge」によく似ている
Vektronの全体像はこんなかんじ。
フレームのしっかり感で定評があるTernのVerge(ヴァージュ)シリーズとよく似ている。
サドルの高さの調節幅が広く、ハンドルの位置も工具不要で調節が可能。これにより、身長147~195cmの人まで乗ることができるという。(最適な身長は160~180cmくらい)
折りたたみ方はTernの従来モデルと同じ
「折りたたみ方法」もVergeシリーズとほぼ同じで、20秒もあればコンパクトに変身。
「折りたたみサイズ」はW86×H65×D41cmと発表されていて、こちらもVergeシリーズとほぼ同じ。
ワンタッチで確実にリリース&ロックできる仕組みなど、Ternならではの優れた折り畳み機構はVektronにももれなく採用されています。
重さは約20kg。電動アシストユニットを積んでいるぶん、従来の折りたたみ自転車よりも重たいですね。
とはいえ、持ち上げるためのハンドルが付いていて持ち易いので、20kgという数字から想像していたよりは軽く感じました。
重さの感じ方には個人差がありますが、いずれにしても「気軽に輪行」とはいかない重量だとは思います。
タイヤには定評のある「ビッグアップル」を採用
Vektronのホイールサイズは20インチの406規格。そこに極太タイヤ「シュワルベのビッグアップル」が採用されている。
ビッグアップルは乗り心地の良さに定評があり、丈夫でパンクしにくいことから根強い人気があります。また、ゴツイ見た目からイメージするよりもずっと軽やかに転がる面白いタイヤですよ。
ビッグアップルのエアーボリュームは、Vektronの重量を受け止めるのに十分なもので、安定感のある走りが期待できます。
リア変速はシマノの10段ギア
変速機は「リアのみ」の設定で、ロード用コンポーネントの入門グレードTiagra(ティアグラ)の10段スプロケット+ディレイラーを搭載。
スプロケットの歯数は11-32Tのワイドギアがセットされていて、これによりリアの変速だけで幅広いシーンに対応可能。
近年主流になっている「11段」ではなく、あえて「10段」をセレクトしているのは、電動アシストのパワーに応えるための耐久性重視の選択ではないかと想像できます。
また、ママチャリでおなじみの「内装変速機」ではなく、スポーツ自転車でおなじみの「外装変速機」を採用することで、駆動ロスを大幅に抑えることができ、メンテナンスもしやすい。
ちなみに、チェーンリング(フロントギア)は52T。20インチの自転車でこの前後ギアの組み合わせなら、たいていのシーンをカバーできますね。
ブレーキには「ディスクブレーキ」を採用
前後輪のブレーキには、ドイツの老舗メーカー「MAGURA」の油圧式ディスクブレーキを装備。
ディスクブレーキは制動力が安定していて、雨の日もブレーキフィーリングが変わりにくいという特長がありますよ。
一部のアクセサリーパーツを標準装備
フロントライト&テールランプは標準装備。
フロントライトはハンドルの中央にすっきり収まっていて格好良い。上下に角度調節も可能。
ライトは前後ともに電動アシストシステムのバッテリーから給電されるので、個別に電池を管理する必要がないのがポイント。(ただし明るさは前後ともに最小限というかんじだった)
また、ハンドルのグリップも標準で「エルゴン」のグリップが採用されている。
横1本のフラットハンドルは、シンプルで誰にでも乗りやすい反面、長時間の乗車では手が痛くなりやすい。そのため、自転車を買った後にグリップをエルゴンに交換するのは定番のカスタム。
そんなわけで、初めからエルゴンのグリップが装着されているのは嬉しいポイントですね。
前後のタイヤをカバーするフェンダー(泥よけ)や、荷物やバッグを積めるラックは、別途オプションパーツとして用意され、必要に応じて選択できます。
電動アシストシステム|機能&操作方法もチェック
続いて、もっとも注目すべき「電動アシストシステム」について見ていきましょう。
BOSCHの「eBike Systems」を搭載
Vektronの電動アシストシステムには、BOSCHのeBikeシステム「Active Line Plus」が採用されています。(詳細:BOSCH公式ページ)
これは日本では登場したばかりで「初めまして」というかんじですが、ヨーロッパでは何年も前から普及している、信頼性の高い電動アシストシステム。
アシストパワーを発生させるドライブユニット(モーター)は、ボトムブラケットの位置に搭載。これがVektronの心臓部ともいえる。
ハンドルに設置されたディスプレイ&リモコン
電動アシストシステムのON/OFFや、モード切り替え、各種インフォメーションの表示・確認は、ハンドル左側に設置されたディスプレイ&リモコンで行うことができる。
画面には【スピード】や【走行距離】【走行時間】【時計】【航続距離】【バッテリー残量】などが表示され、一般的なサイクルコンピュータと同等の機能を持っていますよ。
また「電球マーク」のボタンを押すことで、前後のライトをONにすることができる。(ライト側にもスイッチはある)
電動アシストのモード切り替え
ディスプレイの左側、ちょうどグリップをにぎる左手の親指から押しやすい位置に「+/-」のボタンがある。
この「+/-」ボタンを操作することで、電動アシストのモードを切り替えることができます。
電動アシスト機能|5つのモード
電動アシスト機能には【OFF】【ECO】【TOUR】【SPORT】【TURBO】の5つのモードがあり、順にアシストパワーが強くなっていく。
【OFF】はアシストパワー無しで、それ以外のモードにするとアシスト機能が有効になる。
アシストパワーは「ペダリングの入力に対して、何パーセントのトルクを出力するか」というアルゴリズムになっているそうで、
最もアシストパワーが強い【TURBO】モードでは、ペダリングの力に対して最大で200%のトルクでクランクを回してくれる。(=ペダリングの力を最大で2倍にパワーアップ)
モードによって航続距離の表示も変わる
アシスト機能のモードによってバッテリーの消費量が変わるので、
「現在のモードであと何km走れるか」の目安が【航続距離】として表示されます。
ECOモードがもっとも長く、航続距離はおよそ100kmの表示。
続いて、TOURモードでは60km台、SPORTモードでは50km台、TURBOモードでは40km台がそれぞれ表示されている。
走れる距離は「のんびり走るなら最長100km」「パワフルな走りを楽しむなら40~60kmくらい」というかんじですね。
アシスト機能を使ってバッテリー電力を消費していくと、航続距離の表示も1km単位で減っていくので、不意のバッテリー切れが避けられるし、バッテリー残量のマネジメントはしやすいと思います。
「電動アシストの有効範囲」は法令どおり
なお、日本では電動アシスト付き自転車の「アシスト機能の有効範囲」が法律により定められています。大まかには、
- 時速10~24kmでは、速度に応じてアシストパワーを徐々に弱くする。
- 時速24kmを超えるとアシスト機能をOFFにする。
というかんじで、日本で販売される全ての電動アシスト付き自転車はこれに従って製造・調整されています。
VektronのeBikeシステムも、この決まりの中でアシスト機能を最大限発揮できるように設定されていますよ。
日本における「自転車の電動アシスト機能」は、スピードを出すためのものではなく、「加速・登りを楽にするもの」「速度を維持しやすくするもの」といえます。
乗ってみた感想|実走インプレッション
それでは、いよいよ実際にVektronに乗って・走ってみましょう。
「走りながら感じたこと・気付いたこと」を順にお伝えしていきますね。
「eBike Systems」の電源をON
Vektronのコクピットにまたがったら、まずは電源をONに。
アシスト機能を使用しない場合でも、電源を入れておくことでスピード表示などその他の機能が利用でき、また必要な時には瞬時にアシストパワーを使うことができます。
平地ならアシストOFFでもふつうに走れる
まずは【アシスト機能OFF】で走ってみましょう。
ペダリングをはじめて最初に感じたのは「あれ?全然軽い!」ということ。
もっと「ずっしり」とした重たい漕ぎだしになるかと想像していましたが、重量がある割には、小径車らしい漕ぎだしの軽さも消えてはいない。
よく考えれば、同じ20kgの自転車同士なら「タイヤが小さい自転車のほうが漕ぎだし・加速が楽」なので、Vektronの走りは一般的なママチャリよりも軽快なのだ。
リアの10段変速をこまめに切り替えるだけで、じゅうぶん快適に走れますね。
◎「もしバッテリー切れになっても、平地ならノーアシストでも普通に走れる」という印象。
アシストをON、モードを切り替えてみる
こんどは【電動アシストをON】にして走ってみましょう。各モードの走行感は以下の通り。
ECOモード
まずは、アシストパワーがもっともマイルドな【ECOモード】。停止状態からの走りはじめ・加速が、先ほどより少し楽に感じられる。平地をのんびり流すなら、このアシストパワーでじゅうぶんというかんじ。バッテリー温存の観点でも、これが常用モードですね。
TOURモード
次に、アシストパワーが少し強い【TOURモード】。同じようにペダリングしてみても、足に感じる負荷が減って、まるで「車体が軽くなった」ような感覚。電動アシストが切れる時速24kmあたりをキープするのに最適な印象で、平地を一定速度で走るためのモードといえると思います。
SPORTモード
それから、よりパワフルな【SPORTモード】。まるで「追い風」の中を走っている時のように、それほどグイグイ踏み込まなくてもスルスルと加速していく。アシストパワーを感じられますね。スピーディな加速を楽しめるほか、上り坂・向かい風・荷物が重たい時などのしんどいシーンを楽にしてくれるモードになると思います。
TURBOモード
そして、もっともアシストパワーが強い【TURBOモード】。これは本当にパワフルで「ペダルを踏んだ力を2倍にしてくれる」ので、加速時は誰かに背中を押してもらっているような感覚。平地では不要とも思えるほど力強いので、「急な上り坂を楽に走るためのモード」または「平地で時速24kmまで勢いよく加速するためのモード」といえるでしょう。
- いずれのモードでも、時速24kmに近づくにつれてアシストパワーが弱まり、時速24kmでアシストパワーがカットされる。
- 電動アシストの恩恵を受けられるのは時速24kmまでの「加速」「上り坂」「向かい風」などです。
電動アシストはパワフル&スムーズ
Vektronの電動アシストシステムは、想像していた以上にパワフルでスムーズなものでした。
特に【SPORTモード】【TURBOモード】でのアシストパワーは気持ち良く、「これなら上り坂も怖くないね」「これなら折り畳み自転車でもっと走れるかも」と思わせてくれる。
どのモードでもアシスト機能の効き方はスムーズで、ペダリングに対する反応は違和感を感じさせない自然な動作が好印象。
また、特筆すべきはその「静粛性」。パワフルなアシストでモリモリ働いていても、まったくといっていいほど動作音が気になりませんでした。(無音ではないはず)
サイクリングの心地良さって、自転車そのものの静かさにもあったりしますよね。そういう意味で、この静粛性は魅力の1つと言えます。
◎ただし、急な上り坂など高負荷時には動作音が大きくなることはあると思います。
「ギア変速」と「電動アシスト」どちらも上手に使いたい
【ギアによる変速】と【電動アシスト】はどちらもペダリングの負荷を調節するものですが、
- まずは変速機で「ギアチェンジ」して負荷を調節、
- もっとパワーが欲しい時に「電動アシスト」をプラスしていく
というのが効率の良い使い方。
パワフルな走りが面白くて、ついつい電動アシストパワーだけで加速をしてしまうこともありますが、こまめにギアチェンジすることで、省エネに・長い距離を走ることが可能になります。
eBikeシステムのディスプレイには「最適なギア(負荷)でペダリングできていない場合に、シフトアップ/ダウンをアドバイスしてくれる機能」があるそうで、この機能を活用すれば効率の良いギアやモードを上手に選択できるようになるでしょう。(この機能はデフォルトではOFFになっているそう)
乗り心地がよく、安定感がある
Vektronは、20インチの折りたたみ自転車としては乗り心地がかなり良いほう。走りには安定感があります。
普通ならデメリットにしか思えない「車体重量の重さ」もむしろ安定感にもつながっていて、小径車によくある「ハンドルがフラフラ落ち着かないかんじ」が消えていますね。
標準採用されている極太タイヤ「ビッグアップル」も良い仕事をしていて、路面の段差などからくる衝撃はカドが取れてマイルドに感じられますよ。
また、ブレーキも良く効きます。油圧ディスクブレーキのレバーはカッチリとした操作感で、車体重量に見合った制動力がありますね。
走行感はクロスバイクのようなかんじ
スルスルと走り出して、時速20km強で流している時の感じはクロスバイクに乗っているような感覚。(アシスト使用時)
「非力で重たい折り畳み自転車」という感じがどこかに消えていて、「あぁ、これが電動アシスト付きの小径車の乗り味なんだ」という印象です。
色々な要素がかみ合って、バランスの良い自転車に仕上がっている
通常、ミニベロ・折り畳み自転車はタイヤが小さいために乗り心地が悪く、速度を維持しにくい。だけど「Vektron」はちょっと違います。
「電動アシスト機能」を手に入れたことで、速度を維持しやすく、疲れにくい自転車になっていますね。
また「乗り心地が良い反面、重さがある極太タイヤ」も、電動アシストと組み合わせれば「乗り心地の良さ」というメリットだけが感じられます。
さらに、リア変速の「ワイドレシオのスプロケット」は「幅広いシーンをカバーする」「フロント変速を省ける」というメリットがある反面「ギア間の歯数差が大きいために、しんどい場面がある」のですが、
電動アシストがその差を埋めてくれるので、シンプル&ワイドというメリットだけが生きていますよ。
Vektronは「20インチ」で「ぶっといタイヤ」を履いた小径車。その外観から「いかにも走らなそうな、非力なミニベロ」という第一印象を持ってしまいがちですが、
「電動アシストシステム」を搭載することで、「安定感」や「快適な走り」という面において従来の折りたたみ自転車よりも1ランク上の走行感を手に入れていますね。
使い方の例|Vektronがあればできること
Vektronがもつ「電動アシスト機能」と「折りたたみ機能」を活かせば、例えば次のようなことが可能になります。
100km以内のサイクリングを電動アシストで楽に走る
Vektronなら「電動アシスト機能」を使って、長い距離を楽に走ることが可能です。
【ECOモード】では最長100kmほど走れるということで、スピードを出さずに1日のんびり走るようなサイクリングにはぴったり。
よりパワフルな【TOURモード】【SPORTモード】でも50~60km程度は走れるスペックなので、およそ2~3時間の走行が楽しめますね。
ロードバイクなどのスポーツ自転車にとっては余裕の50km・100kmという距離も、折りたたみ小径車で走るのは結構大変なもの。
そこをVektronならアシストパワーでカバーできます。
上り坂を電動アシストで楽に・パワフルに走る
電動アシスト機能が威力を発揮するのはやはり上り坂。
サイクリングの途中に上り坂があっても、疲れ果てることなく走り続けることができますね。
「坂が苦手」で遠回りしていたルートや、あきらめていたコースも、Vektronなら挑戦できるかもしれません。
また「自宅周辺に坂がある」という人にとって電動アシストパワーの恩恵は大きい。
私も「坂の上の折りたたみ自転車乗り」で、どこに行っても最後は上り坂なので、Vektronの電動アシストには大きな魅力を感じています。
向かい風の中でも時速20km以上をキープして走る
「向かい風」の中を自転車で進むのはしんどいもの。漕いでもこいでも速度が伸びず、気持ち良く走れないんですよね。
しかし、電動アシスト機能があれば話は変わります。
Vektronの電動アシストパワーを活かせば、向かい風の中でもずっと時速20km以上で突き進むことが可能になります。
向かい風による「しんどさを大幅に軽減」したり、「風のせいで到着時間が遅れるというのを予防」できますね。
◎坂道でも同様に、ゆるい上り坂なら時速20km以上でスイスイ上ることが可能です。(勾配にもよる)
ムダな汗をかかずに自転車通勤できる
保管場所などの都合で、通勤に折りたたみ自転車を使う人も多いですね。
しかし、自転車で移動した先で「仕事」や「人と会う用事」がある場合、なるべく自転車で汗をかきたくないもの。
そんな時、電動アシスト機能をもつVektronなら、余計な汗をかかずに移動できます。
また、ふつうの「ママチャリタイプの電動アシスト自転車」を室内保管するのは大変ですが、Vektronなら自宅でも・会社でも、建物内に持ち込むことは容易です。
電動アシスト自転車をコンパクトに収納、車にも積める
「電動アシスト付き自転車」といえば、従来は大きなものでした。
一方、Vektronは折りたためばとてもコンパクト。車に積むのも容易です。
マイカーでの旅行・おでかけに電動アシスト自転車を持って行くことが可能になります。
「折りたたみ自転車」と「電動アシスト機能」の組み合わせは、使い方によっては相当便利なものになりそうですね。
Vektronには難しいこと・苦手なこと
どんな自転車にも、メリットがあればデメリットもあります。
Vektronにおいては、電動アシスト付き自転車に特有のデメリットや制約が一部ありますよ。
1回100km以上のサイクリングには向かない
Vektronは「電動アシスト自転車」としては長距離を走れるほうですが、それでも限度はあります。もっとも長い【ECOモード】で航続距離はおよそ100km。
- 「走れる距離は、最長で100kmくらい」
- 「100km以内のサイクリングを快適に楽しめる自転車」
と考えておくとよいでしょう。
◎バッテリー切れになった場合も、ふつうの自転車と同じように人力のみで走ることは可能ですが、アシスト機能を使えない状態では「上り坂」はより苦しいものになるし、「ただの重たい自転車」になってしまうでしょう。
時速25km以上で走るとしんどい
Vektronの電動アシスト機能を使えば、時速24kmまでの加速は楽チンそのもの。
そこからまだまだペダルを回せば、時速30km以上の速度を出すことも可能です。
しかし、時速24kmを超えるとアシストがオフになるので、時速25km以上のスピードを維持するのは普通の自転車よりもしんどいですよ。
ロードバイクなどのスポーツ自転車と一緒に走るのは難しいかもしれません。
時速24kmを超えなければ、アシスト機能がサポートしてくれるので、ラクに走れる速度域を保つことが、快適にサイクリングを楽しむためのポイント。
◎下り坂など楽にスピードが出る状況では、この「25kmの壁」は薄くなるでしょう。
折りたたみ自転車だけど、輪行や持ち運びには重さがネック
Vektronは、ふつうの折りたたみ自転車よりも重たいです。その重さは【約20kg】。
折りたたんだ車体を持って歩き回るような使い方はしんどいでしょう。
「折りたたみ自転車といえば輪行」とイメージする人も多いと思いますが、重さ15kgを超えると「気軽に輪行するのは難しい」と感じます。
また、輪行の際に駅や階段などで「自転車を抱えて歩く距離が長くて疲れる」というのはよくあること。そんな輪行時のしんどさは、重たいほど辛いものです。
「コンパクトになること」と「容易に持ち運べること」はイコールではない、ということを覚えておきたいですね。
◎一方、「折りたたんで室内に収納」とか「折りたたんで車に積む」といった、折りたたんだその場で完結するような使い方なら、重さを気にすることなくコンパクトさを活かせるでしょう。
カスタムのベース車両には向かない
ミニベロ・折りたたみ自転車は「パーツ交換などのカスタム」も楽しみ方の1つですが、Vektronはカスタムのベース車両には適していません。
Vektronは「フレーム」「純正採用パーツ」「電動アシストシステム」などの諸条件を総合的に組み合わせて設計されていて、
搭載される「eBikeシステム」もまた、Vektronの車両特性・純正パーツにあわせて調整されています。
そのため、タイヤを細いものに交換したり、ギアを自分好みの歯数に交換するなど、特に「駆動・走行に関わる部品」を交換すると電動アシストシステムが正常に動作しなくなるおそれがあるとのこと。
「パーツ交換は非推奨」ということで、なるべく純正仕様のまま乗るのが良さそうです。
◎「ハンドルグリップ」や「サドル」「ペダル」は交換しても問題がない部分なので、手軽なカスタムを楽しむならこの3箇所ですね。
活用イメージ|例えば、こんな使い方に向いている
Vektronをどんな風に使うと、その価値や魅力を最大限に感じられるでしょう?
「コンパクトに折りたためる」「電動アシスト機能が使える」というVektronの特長は、
例えば次のような用途で大いに役立つはずです。
車に積んで行って、旅先で電動アシスト走行を楽しむ
車での旅行に自転車を持って行きたい時には、ラゲッジルームで場所をとらない折り畳み自転車が最適。
でも、折り畳み自転車の非力な走りではサイクリングの楽しさも半減…。
そこをVektronの「電動アシスト機能」が持ち上げてくれるので、折り畳み自転車のメリットが生きてきます。
また、自然いっぱいのフィールドを訪れると坂道も多いもの。自転車で走りたい気分になるけど、しんどいのはいや…。
そんな時、Vektronなら上り坂もスイスイ、疲れずに気持ちよく走り回れます。旅や観光が捗りますね。
自転車通勤を楽に+コンパクトに
Vektronはきっと、自転車通勤にもべんりな自転車。
パワフルな電動アシスト機能をもつVektronなら、元気な日も、しんどい日も、風が強い日も、いつも同じペースで楽に走れます。
アシスト走行をフル活用すれば、余計な汗をかかずに、いつもほぼ同じ時間で家~会社の間を移動できるはず。
さらに、通勤用の自転車を「折りたたみ自転車」にすることで、家でも・会社でも自転車を屋内保管することが可能になります。(会社にもよる)
「自転車通勤したいけど、置き場所がネックになっている」という人は、折りたたみ自転車が有力な選択肢。
そして、Vektronのようなパワフルな折りたたみ自転車を選べば、自転車通勤を楽に・コンパクトにすることができるでしょう。
上記の活用例以外にも、Vektronがもつ「コンパクトに折りたためる」「電動アシスト機能が使える」という2つの特長を活かせば、きっといままで考えたこともないような自転車の使い方もできるはずです。
その他の情報
その他に、Tern Vektronについて私からお伝えできることは以下の2点。
「航続距離」と「予定走行距離」のズレに気を付けたい
今回試乗してみて「ここに気を付けたいな」と思ったのは、「アシストモードを切り替えると航続距離が変わる」ということ。
はじめは「ECOモードで100km走るつもり」で走りだしても、途中で上り坂があったりすると、よりパワフルなモードに切り替えることになりますよね。
すると、ふたたび「ECOモード」に戻した時、「航続距離が予定よりも減っている…」ということが起きます。100kmを走り切る前にバッテリー切れになる恐れがありますね。
サイクリングで「予定よりも体力を消耗した」ということがよくあるように、「予定よりもバッテリーを消耗する」ことはあると思うので、「ほとんど平地」とわかっているコース以外では、航続距離に対して余裕を持った走行計画を立てたほうが良いでしょう。
また、アシスト機能が不要な時は「OFF」にしてバッテリーを温存するというのも、電動アシスト付き自転車ならではの小技。
◎バッテリー残量や航続距離に不安があるのは基本的には「中長距離」での利用時のみ。例えば30km未満など短距離のサイクリングでは特に心配する必要はないでしょう。
メンテナンスの難易度は?
自転車を買う時、メンテナンスが容易にできるかどうかは気になりますよね。
Vektronの場合「パンク修理」などの一般的なメンテナンスの難易度は並です。
「電動アシストシステムが付いているから、ややこしそう」と思ってしまいますが、アシストユニットはBB周りに集中しているので、ホイール周りには特殊な構造はありません。
ホイールにはクイックリリースが付いていて、素早く着脱することが可能。一般的な「町の自転車屋さん」でもパンク修理は対応してもらえる可能性が高いですよ。
また、リアの変速機まわりは一般的なシマノのロードコンポなので、「チェーン交換」や「ディレイラー調整」などのメンテ・整備もスポーツ自転車経験者なら容易にできるはずです。
もっとも、メンテナンスは購入店におまかせするのが一番だと思うので、初心者さんやメンテが苦手な人は、自転車屋さんのお世話になると良いでしょう。
まとめ
ということで今回は、電動アシスト付き折りたたみ自転車「Tern Vektron」について、
試乗レポート/実走インプレッションをまとめてお届けしました。
Vektronの電動アシストは、思っていたよりもずっとパワフル&スムーズ。
ギクシャクした感じや違和感はなく、気持ちよく走れます。
また、アシスト機能だけでなく車体全体がよく作りこまれているので「完成度の高い1台」だと感じました。
実際の活用に際しては、電動アシスト付き自転車特有の制約やデメリットもあるので、まずはメリットもデメリットも知っておくことが大切。
Vektron(ヴェクトロン)が持つ特長やメリットを活かせば、きっといままでにない自転車の使い方や、楽しみ方ができるはず。
そんなVektronがもつ可能性にもっと触れてみたいと思ってしまったので、今後予算が許せば手を伸ばしてみたい1台となりました。
「折りたためる電動アシスト自転車」、あなたならどんなシーンで便利に使いますか?
何か新しく・面白い、Vektronにしかできないような使い方を試してみたいですね。
今回の試乗ショップ「MOVE bicycles」
今回の試乗でお世話になったお店は、兵庫県西宮市にあるミニベロ・折りたたみ自転車専門店「MOVE bicycles|ムーブバイシクルズ」さん。
こちらのお店では、Tern(ターン)、Dahon(ダホン)、ORibike(オリバイク)などのミニベロ&折りたたみ自転車を豊富にラインナップ。
お店の方は初心者にもやさしく、店内にはパーツ&アクセサリも取り揃えられていますよ。
ミニベロ&折りたたみ自転車の購入を考えている人は、一度訪れてみてはいかが?
なお、今回ご紹介した自転車「Tern(ターン)のVektron(ヴェクトロン)」は、こちらのお店でも予約注文が可能です。(※通常はVektronの試乗車はありません)
- 関連リンク:「MOVE bicycles」ホームページ
Vektronの発売は2018年5月に予定されています。正式な発売日が決定したら、改めて「Tern」や各取扱ショップからアナウンスされるでしょう。
以上、電動アシスト付き折りたたみ自転車Tern Vektron(ヴェクトロン)の試乗レポートをお届けしました。
ご紹介した内容が、あなたの自転車選びの参考になれば幸いです。
こちらの記事もぜひ参考に