自転車用ライトの選び方|覚えておきたい3つのポイント
自転車で使用する『ライト』。
色々な製品が販売されているので、どれを買ったらいいのか悩みますよね。
ライトは「安全」に関わるアイテムなので、安易にテキトーなものを選ぶのではなく、
明確な基準を持って選ぶことが大切です。
- 例えば、安全のために必要なライトの明るさの目安は「300ルーメン以上」。(理由は本文で説明)
- それに「明るさ」だけでなく「ランタイム(連続使用可能時間)」も大事なポイントです。
ということで今回は、そんな「自転車のライトを選ぶ際に覚えておきたいこと」を、大きく3つのポイントに分けて、わかりやすく解説します。
- 「明るさ」が「安全性」を左右する
- 「ランタイム」が「利便性」を左右する
- 「十分な明るさ」×「長いランタイム」=実用的なライト
1.「明るさ」が「安全性」を左右する
自転車のライトを選ぶうえで一番大切なポイントは、その「明るさ」。
ここでは「なぜ明るさが重要なのか?」や「どのくらいの明るさが必要なのか?」という部分について解説します。
十分な明るさが無ければ、点けていても意味がない
自転車のライト、「とりあえず何でも付けておけば良いだろう」「どんなライトでも、無灯火よりはマシ」なんて考えていませんか?(たしかに無灯火よりはマシ。)
ライトを点灯していても、
明るさが不十分だと、安全確保や事故回避に役立たず意味がありません。
夜道で危険な場面に出くわしたとき、命拾いできるかどうか、他人を傷つけずに済むかどうかは、ライトの明るさが大きく関係しています。
市販の大抵のライトの明るさは、多くの人が期待しているよりも暗く、
安全のために本当に必要なライトの明るさは、多くの人が思っているよりずっと明るいです。
「明るいライトを点けているつもり」になっているだけで、実際には全然明るさが足りていない人がほとんどです。もっと明るいライトが必要ですね。
自転車のライトを選ぶ時は、まずは「明るさが十分であること」を第一に考えましょう。
「視認性」と「被視認性」を確保するには、明るいライトが必要
自転車のライトの役割は、
- 「視認性の確保」=「自分の視界を照らして見えるようにすること」
- 「被視認性の確保」=「周りから自分の存在が見えるようにすること」
の2つです。
どちらかだけではダメで、両方を兼ね備えていなければ十分な安全性は確保できません。
しかし、一般に「被視認性」ばかりが優先され、「視認性」が疎かにされる傾向がありますよ。
- 例えば「明るさ不足の暗いライトを点滅させている人」は、周りからは点滅する光に気づいてもらえる可能性がありますが、自分の前方を照らせていません。
- 「ライトは前方を照らして見るもの」という認識が欠けている人が多いですよ。
- 「点滅させておけば周りから気付いてくれるだろう」「周囲にアピールするために点滅させてるんだ」という考えももっともですが、それしか考えていないなら要注意。
周りから気付いてもらうだけでなく、自分の前方をしっかり見ることが肝心であり、そのために十分な明るさをもつライトを点灯することが必要です。
これについて、もう少し詳しく説明してみます。
より明るいライトを使用→「視認性」がアップ
自転車は走行する車両である以上、暗がりでも前方の状況を知る「視認性」が必要です。
「視認性」を確保することで、前方の状況を目で見て確認し、場合によっては自分から積極的に事故回避行動をすることができます。
十分な視認性を確保して【歩行者】や【対向自転車】【段差】【落下物】【スリップしやすい箇所】など「前方の状況」を知ることは、事故を未然に防ぐ上でとても重要です。
特に「路面の段差」は日中でも気をつけて発見・回避しないと事故の原因になりますよね。
ところが、自転車のライトは光量不足の暗いライトが多く、前方の様子が見えていない人が大変多いのが現状です。
より明るいライトを使用することで「視認性」が向上します。
より明るいライトを使用→「被視認性」がアップ
自転車は交通の中で目立たない存在のため、周りから気付いてもらう「被視認性」は重要です。
「被視認性」を高めれば、自分の存在に気付いてもらいやすく、場合によっては他人に事故回避行動をしてもらうことができます。
被視認性を確保することは、自分の存在をアピールして身を守ることにつながります。しかしそれだけでは事故回避行動を他人に委ねていることになります。
また、多くの人は自分で思っているほどライトの光や自分の存在が目立っていないことを自覚する必要があります。
被視認性を意識してライトを「点滅モード」で使う人は多いですよね。たしかに、明るさが不足している暗いライトは、点灯よりも点滅のほうが目立つかもしれません。
しかし、そもそも暗いライトを点滅させても効果は薄いです。
より明るいライトを使用することで「被視認性」が向上します。
明るさの目安は「300ルーメン」以上
安全のために必要なライトの明るさの目安は、スペックでいうと【およそ300ルーメン】以上。
法令では『自転車のライトは前方10メートル先の道路上の障害物が確認できる明るさが必要』と定められていて、実質的にこの基準を満たす最低ラインが300ルーメン前後です。
まずは「300ルーメン以上」の明るさスペックを持つライトを選んでおけば、一般走行においては十分な「視認性」と「被視認性」が得られますよ。
いままで100ルーメン未満の暗いライトを使っていた人は、300ルーメン以上のライトを見ると「こんなに明るいの?」と思うかもしれませんが、使えば「なるほど、見えかたが全然違う!」と納得するはず。
最近の自転車用ライトのほとんどはスイッチで明るさを切り替えることが可能なので、周囲の明るさに応じて光量を選択することもできます。
明るい場所でも・真っ暗な場所でも、周囲の状況に応じて必要な明るさを発揮できるライトを持っておくことが大切ですね。
一般に、ライトの明るさを表す単位には「ルーメン」と「カンデラ」が使われます。
カンデラ(≒最も明るい部分の光の強さ)よりもルーメン(≒出ている光の全体量)で見たほうが、数値と実際の明るさ感覚のズレが少なく、明るさを比較・イメージしやすいです。最近は自転車用ライトのスペック表記もルーメンに統一されつつありますね。
明る過ぎると危険?
明るいライトの強い光は、場合によっては他者の視界を奪い、かえって危険なことも。
しかしこれは光を当てる方向や範囲が適切でない場合に起きる問題であり、あくまでも使い方によるものです。
「ライトの光をどこに向けるか」はライトを使う時に意識したいポイント。
他者を眩惑しないように、明るいライトはやや下向きで使うのがマナーです。
ハンドルに装着するタイプのライトなら、ハンドルに固定したままでもグイッと回せば下向きに調節できます。
さらに、他者に優しい行動をする余裕がある時は、
- 「車や他者がこちらに接近してくるのに気付いたら明るさを1段階下げる」とか
- 「歩行者や他の自転車とすれ違う時だけライトを手で覆って光を遮る」など、
一時的に光を弱める工夫はできますよね。
周囲の人の視界にも気を配ってライトを使うことで、より「安全性」が高まります。
車のハイビーム/ロービームのように、必要に応じて自分の手で自転車のライトの角度や光量を調節することはできますよね。
明るすぎるんじゃないかと心配するよりも、まずは「明るさ不足」を心配しましょう。
どんなライトでも光を直視すれば眩しいです。低スペックな明るさが不足しているライトでも、光を直視すれば眩しいものです。
光を直視しても眩しくないなら、そのライトは完全に光量不足の危険なライトだと言えるでしょう。
2.「ランタイム」が「利便性」を左右する
ライトを選ぶうえで「明るさ」の次に重要なのが「ランタイム(連続使用可能時間)」です。
これについて解説してみます。
ランタイム(連続使用可能時間)が利便性を左右する
電池・バッテリー式のライトは【使える時間】に限りがあります。
- ランタイムが長いほど「電池切れの心配」や「充電・電池交換の頻度」が少なく使い易いです。
- ランタイムが短いと「常に電池切れの不安」があったり、ひんぱんに電池切れに悩まされることになります。
どんなに明るくても「たった1時間で電池切れ」するようでは困りもの。ランタイムは長いほど便利なのです。
ランタイムが短いと、すぐに電池切れになって困る
例えば、1日1時間ほどの使用でも、ランタイムがたった1~2時間しかないライトだと、毎日または2日に1度は電池切れになります。
使うたびに電池交換や充電をするのは面倒だし、使うたびに毎回電池の心配をしなければならないライトは不便です。
また、サイクリングに行った時に、日が暮れてしまうことってありますよね。そんな時、1~2時間しか使えないライトは、すぐに電池切れになります。目的地までもたないことがありますよ。
暗い夜道を走行中に電池が切れたら、もう最悪…。ランタイムって重要です。
ライトの「モード切り替え」でもランタイムは変わる
電池・バッテリー式のライトのほとんどは明るさを選べる【モード切り替え】があり、次のようなモードが選択できます。
- Highモード(最大光量・ランタイムが短い)
- Midモード(中間光量・ランタイムが普通)
- Lowモード(低光量・ランタイムが長い)
- 点滅モード(点滅・ランタイムが長い)
(上記は一例です。モードの種類は製品によって異なります。)
そして、各モードはそれぞれ明るさだけでなくランタイムが変わります。
- 明るさを優先したモードはランタイムが短く、夜間走行中に電池切れになる恐れが高まります。
- ランタイムを優先したモードは明るさが弱まり、長時間使える代わりに安全性が低下します。
最大光量でのランタイムは極端に短い
ほとんどのライト製品において「最大光量のモード」のランタイムは極端に短いです。
製品によって異なりますが「1時間」「1.5時間」など、あっという間に電池を使い切るものも多く、電池の劣化や気温の低下など条件が重なれば「数十分」で電池切れになることもあります。
最大光量で使うとすぐに電池切れになるので、走行中の電池切れを防ぐためには「省電力な暗いモード」で使うことになります。
例えば「最大光量300ルーメン」のライトを買っても、電池を持たせるためにはいつも150ルーメンでしか使えない、という様なことです。
つまり、最大光量のモードはランタイムが短いので「常用」には向かないということです。
実用的なランタイムのモードがそのライトの「常用光量」
最大光量より明るさを抑えたモードでは「5時間」「8時間」「12時間」など十分なランタイムを持つ製品が多いです。
モードを切り替えて明るさを抑えれば、電池消耗がゆるやかになってランタイムが伸びるのです。
ランタイムが伸びれば電池切れの心配は少なくなり、製品によっては夜通し走ることも可能。これなら安心して使えますよね。
つまり、「すぐに電池切れしない、安心して使えるモード」が、そのライトの「常用光量」ということ。
一般に「最大光量の1~2段階下のモード」が常用光量となります。
3.「十分な明るさ」×「長いランタイム」= 実用的なライト
ここまでの内容で、自転車のライトには「明るさ」と「ランタイム」の両方が大切ということがお解りいただけたはず。
つまりは「なるべく明るくて、少しでも長時間使えるライト」を選ぶことが、「どんなライトを買えばよいか?」の答えであり、3つめのポイントです。
「十分な明るさで長時間使えるライト」が実用的
「十分な明るさ」と「実用的なランタイム」を兼ね備えた製品が『実用的なライト』です。
「明るくてもすぐに電池切れになったり、電池を持たせようとすると明るさが不足する…」、そんなライトは役に立ちませんよね。
そして、電池・バッテリー式のライトは、最大光量のモードではランタイムが極端に短いので、
明るさを抑えてランタイムを延ばした「常用光量のモード」で十分な明るさを得られるライトこそが実用に相応しいです。
それってつまり、どんなライト?
ワンランク上の製品を選ぶのが正解
「この明るさにしよう」と思ったライトの「もう1つ上のグレード」の製品を選べば、【十分な明るさ】と【長いランタイム】が両立できます。
- まずは「明るさ」を基準にライトを選ぶ
- 「これだ」と思ったライトのワンランク上の製品を選ぶ
そうすれば、明るさを1段階下げたモードでも十分明るいし、ランタイムにも余裕が生まれます。
より明るく・長時間使えるライトほど価格は高くなりますが、「安全」のための投資ですから、思い切って手を伸ばしてみることをお勧めします。
手が届く範囲でなるべく明るいライトを選びましょう。ライトが明るいことによる安全上のメリットは本当に大きいですよ。
まとめ
この記事では「自転車用ライトの選び方」について、覚えておきたいことを大きく3つのポイントに分けて解説しました。
- 「明るさ」が「安全性」を左右する
- 「ランタイム」が「利便性」を左右する
- 「十分な明るさ」×「長いランタイム」=実用的なライト
ご紹介した内容を頭の片隅に置いていただき、「失敗の無いライト選び」をしてもらえればと思います。
それでは、いつも安全に気を付けて、自転車ライフを楽しみましょう!
【参考】明るさとランタイムを基準に選ぶ、オススメBEST3
最後に、今回ご紹介した3つのポイントを押さえて選ぶ「おすすめライト ベスト3」を、私も使っているキャットアイのライトからご紹介します(2019年4月更新)
1~3位すべてに共通する条件は、「300ルーメン以上の明るさ」で「3時間またはそれ以上使用できる」こと。
1位 キャットアイ 「VOLT1700」
「VOLT1700」はかなり明るいライトです。明るさを下げたミドルモードは500ルーメンで5時間使えます。
(目安:500ルーメンで毎日30分の使用なら、1回の充電で10日間使えるスペック)
走行スピードが速いほど明るいライトが必要なので、ロードバイクには特にお勧めです。
2位 キャットアイ 「VOLT800」
「VOLT800」はコンパクトでありながらハイスペックなライト。明るさを下げたミドルモードは400ルーメンで3.5時間使えます。
3位 キャットアイ 「VOLT400」
「VOLT400」はVOLT800の妹的なライト。大きさや重量はVOLT800とそれほど変わりませんが、バッテリー容量と明るさスペックが少し控えめな廉価モデル。
最大光量のハイモードで400ルーメン/3時間使えます。
基本的にバッテリー容量が大きいライトほど、コストパフォーマンス(価格に対するスペック・実用性の比率)が良くなる傾向があります。
上記3製品の中では、価格はやや高いですが、コスパは実は「VOLT1700」が一番です。
迷ったときは、なるべくハイスペックなモデルを選んでおくと後悔しないと思いますよ。ご参考までに。
【レビュー記事】VOLTシリーズの詳しいレビューも参考に
『VOLT1700』の旧モデル『VOLT1200』を以前の記事で詳しくレビューしているので、そちらもぜひ参考に。ハイスペックライトの使用感を解説しています。
以上、「自転車用ライトの選び方|覚えておきたい3つのポイント」をお送りしました。
あなたのライト選びの参考になればと思います。