ロードバイク・ミニベロでお尻や股間が痛い時、サドル交換の前にまず試してみてほしいこと
ロードバイクやミニベロなど、
趣味で自転車に乗り始めたばかりの人がかなりの確率で悩むのが、お尻や股間の痛みです。
この記事を読んでくださっているあなたは、痛みに心当たりがあるか、いま悩んでいるのかもしれません。
でも大丈夫、自転車によるお尻や股間の痛みは軽減・解消することができます。
自転車によるお尻や股間の痛みの解消方法はいくつかあって、
いきなりサドルを交換したりする前に、まず試してみてほしいことがありますよ。
「痛みの原因」も含めて、解りやすく解説しますね。
基本的に男性でも女性でも、どんなサドルでも使える内容です。
自転車によるお尻・股間の痛み|その原因は?
痛みを感じる場所はおもに2パターン
自転車に乗ってサドルとの間に痛みを感じるのは、大きく分けると「お尻」か「股間」です。
お尻が痛い
いわゆるお尻が痛いという状態は、ふつう「坐骨部分」の痛み。
サドルの後ろ半分に乗っている部分で、左右2箇所がジンジンと痛みますよね。これは主に鈍痛です。
股間が痛い
いわゆる股間が痛いという状態は、「お股」や「尿道」の痛み。
サドルの中央~前半分に乗っている部分で、お股の真ん中が痺れたり、鋭い痛みを感じることもあります。
◎ちなみに、人によって痛くなる場所が違うのは、人によって乗車姿勢や体重のかかり方が違うからです。
痛くなるのはなぜ?
自転車に乗っていてお尻や股間が痛くなる、その原因はかんたんに言うと、
体重がたくさんかかっているところに、サドルが強く当たるから。
つまり、サドルとお尻の当たり方を変えれば痛みを軽減したり、解消できる場合があります。
◎摩擦で皮がむけて痛むのは、これとはまた別の問題です。
痛みにはそのうち慣れる?
「お尻や股間が痛い」という悩みを自転車屋さんや先輩サイクリストに相談すると、「乗り続けていればそのうち慣れるよ」なんて言われることもあると思います。
たしかに慣れの部分もありますが、それは痛みを我慢できるようになったり、痛みの誤魔化しかたを覚えただけという側面もあります。
また、速く走るためには「ペダルに体重をかけて、サドルから体重を抜くこと」が基本なので、スポーツ志向の人ほどサドルにかかる体重が少なく痛みを感じにくいという場合もあります。
反対に、サドルにどっかりと座ってのんびりとサイクリングを楽しむ人が痛みを感じやすいのは、ある意味自然なのです。
痛みの解消方法はいくつかある
サドルとカラダの間に起きる痛みを解消する方法は主に次のようなものがありますよ。
- サドルを交換する
- サドルのセッティングを調節する
- パッド付きウェアを着用する(詳細)
このうち、誰でもすぐに試せるのが「サドルのセッティングを調節する」です。
具体的には、サドルの前後位置や、上下の角度を調節するということ。
「サドルの高さしか調節していない」という人は多いですね。
ということで、まずはサドルのセッティング調節から試してみましょう。
なお、この記事ではサドルの高さ調節については触れません。便宜上、サドルの高さは概ね適切に設定されているという前提でお話します。
1. サドルの前後位置を調節してみよう
自転車のサドルは取り付け位置が前後に調節できます。
「太ももの長さ」や「サドルの高さ」に応じて調節する必要がありますよ。
お尻・坐骨部分が痛いときはサドルを前に
お尻の後ろのほうが痛い時は、サドルの位置を少しずつ前に調節してみてください。
お尻の位置に対してサドルの位置が後ろ過ぎる場合に、坐骨がサドルのクッションに乗り切れず、痛みの原因になっていることがありますよ。
サドルを前寄りに調節することで、坐骨がサドルのクッションを十分に使えるようになります。
股間・尿道が痛いときもサドルを前に
お股の前のほうが痛い時も、サドルの位置を少しずつ前に調節してみてください。
お尻の位置に対してサドルの位置が後ろ過ぎる場合に、サドルの細い部分にばかり体重がかかり、痛みの原因になっていることがありますよ。
サドルを前寄りに調節することで、サドルの食い込みや体重の集中を軽減できます。
脚の付け根が痛いときはサドルを後ろに
それほど多くはないパターンですが、「脚の付け根」「内股」の部分が痛い時は、サドルの位置を少しずつ後ろに調節してみてください。
お尻の位置に対してサドルの位置が前過ぎる場合に、サドルの幅広部分がお尻や太ももの付け根に食い込んで痛みの原因になっていることがありますよ。
サドルを後ろ寄りに調節することで、サドルの食い込みや体重の集中を軽減できます。
調節する時は少しずつ、3~5mmくらいの幅で動かしましょう。イラストでは解りやすいように大きく動かしています。
2. サドルの角度(上下の傾き)を調節してみよう
自転車のサドルは取り付け角度が調節できます。
「カラダの前傾具合」や「骨盤の角度」に応じて調節する必要がありますよ。
お尻・坐骨部分が痛いときは後ろ下がりに
お尻の後ろのほうが痛い時は、サドルを後ろ下がりに調節してみてください。
「坐骨に体重がかかっていて、サドルがお尻に強く当たっている」という状態は、アップライトな乗車姿勢の人や、猫背ぎみで乗っている人によくあるパターン。
また「後ろの方が高くなっているサドル」も、そのままではお尻が痛くなりやすいです。
サドルを後ろ下がりに調節することで、坐骨部分にサドルが当たる強さが弱まります。
股間・尿道が痛いときは前下がりに
お股の前のほうが痛い時は、サドルを前下がりに調節してみてください。
「お股に体重がかかっていて、サドルがお股に食い込んでいる」という状態は、前乗り気味の人や深い前傾姿勢で乗っている人によくあるパターン。
サドルを前下がりに調節することで、お股にサドルが当たる強さが弱まります。
調節する時は少しずつ、あまり極端に上下に向かないようにしましょう。
まとめ
ということで、自転車によるお尻や股間の痛みを解消したい時には、
あなたのカラダや乗り方に合わせて、サドルのセッティングを積極的に調節してみましょう。
大切なのは、体を自転車に合わせるのではなく、自転車を体に合わせていくことです。
あなたのレベルや上達に合わせて、セッティングを見直していけばいいのです。
サドルを交換する前に、まずは調節から試してみよう
痛みを解消するために「サドルを違うものに交換してみる」というのは1つの方法です。最終的にそれが正解ということも。
しかし、一度サドルを交換すると「何度交換しても・サドルを何種類試しても納得がいかない」という、いわゆる「サドル沼」にハマる人は多いです。
そして、実は「痛みの原因はサドルそのものではなく、サドルの取り付け方法だった!」ということがありますよ。
サドルの位置や角度をほんの少し調節するだけで、痛みが軽減されることがあるんです。
そして、どんなサドルでも調節は必要です。
どんなサドルに交換しても、調節不足は痛みの原因になりますよ。
ということで、サドルを交換する前に&サドルを交換するたびに、サドルの取り付け位置や角度の調節を試してみることをお勧めします。
【おまけ】その他の対策方法
最後に、サドルの調節以外の「痛みの軽減・改善に役立つ方法」をいくつかお伝えしておきます。
「パッド付きウェア」で痛みがさらに軽減できます
- 「サドルを調節したら痛みはマシになったけど、まだ痛みを感じる」という場合や、
- 「短距離なら痛くないけど、長距離を走ると痛くなる」という時は、
サドルの調節と合わせて「パッド付きウェア」を使ってみるのがおすすめです。
サドルとの接触感がマイルドになって、痛みの軽減に効果がありますよ。
下記のような、普段着の下に着用できる「パッド付きインナーパンツ」がお手軽です。
私も普段着でロングライドに出掛ける時などにはパールイズミのパッド付インナーパンツを履いています。
サイクルタイツを履かなくてもパッドの恩恵を受けられるので便利ですよ。
サドルに装着するクッションカバーも有効です
- 「サドルを調節をしてもまだ痛みに悩まされる」という場合や、
- 「パッド付きウェアを履くのは嫌だ!」という場合は、
「サドルに装着するクッション付きカバー」を使うという選択肢もありますよ。
サドルに装着して痛みを軽減できるカバーで、サイクルウェアのパッドをサドルに付けるようなかんじです。
「サイクルウェアやインナーパンツを履くのは嫌だなぁ」という人は、こちらが有効な選択肢になると思います。
- ちなみに、サドルに装着するクッション付きカバーには「横幅が狭い製品(幅18cm前後)」と「横幅が広い製品(幅24cm前後)」があります。
- 細長いスポーツタイプのサドルに装着する場合は横幅が狭いものを、お尻が乗る部分の幅が広いママチャリ等のサドルに装着する場合は横幅が広いものを選ぶと概ね適合します。
- 「クッション付きカバーのサイズ」と「装着予定のサドル」の寸法を確認してから購入すると購入ミスが減らせますよ。
それでも「股間」が痛む時は、こちらの記事も参考に
どの対策をしても股間・尿道の部分が痛いという人は、
トライアスロン用のサドルで解決できる可能性があります。
私が「おじぎ乗り」という自転車の乗り方を実践する過程で起きた股間の痛みを「トライアスロン用のサドル」で解消できた例を下記ページでご紹介していますよ。
筆者が股間・尿道の痛みから解放されたサドルを紹介している記事はこちらです。
一般的な「穴開きサドル」を試してみたけどやっぱり痛い!という人も上記ページが参考になるかと思います。
以上、「ロードバイク・ミニベロでお尻や股間が痛い時、サドル交換の前にまず試してみてほしいこと」でした。
まずはサドルのセッティング調節から試してみて、必要に応じてその他の痛み対策もやってみてくださいね。
それでは、楽しいサイクリングを!