BB(ボトムブラケット)を交換|回転性能アップに効果あり
先日、私が乗っているミニベロロード「バイクフライデー・ニューワールドツーリスト」のBB(ボトムブラケット)を、より良く回るものに交換しました。
気になるその「効果」や「感想」「BB交換のポイント」についてご紹介します。
ミニベロやロードバイクの入門機などに乗っている人で、初めから装着されていたBBをまだ交換せずにそのまま使っている人は、交換してみる価値があると思いますよ。
「BB」を今よりも高性能なものに交換すると、
- ペダリングが軽くなります。交換前・後の性能差にもよりますが、体感で「ギア1枚分」くらいは軽くなります。
- スピードアップが可能です。ただし、BB性能を活かしてケイデンスを上げられることが条件です。
「BB」って、こんなパーツ
BB(ボトムブラケット)は自転車の基本的なパーツの1つなので、詳しく説明する必要はないと思いますが、入門レベルの人にも解るように、かんたんに確認してみます。
BBはこの部分
「BB」は、自転車のペダルが付いている「クランクの回転軸」の軸受け部分です。左右のクランクをつなぐシャフトが「BB」の中を通っています。
BBの役割
「BB」は、クランクの回転を軽く・滑らかにするためのパーツです。もし「BB」が無ければ、ペダリングにはより大きな力が必要で、自転車はとてもしんどい乗り物になっていたでしょう。
BBの性能はものによって異なる
「BB」の構造や性能は、メーカーや製品・グレードによってそれぞれ異なります。今使っているものよりも高性能で良く回るBBに交換すれば、ペダリングはもっと軽く・滑らかになります。
BBの性能について、もっと詳しく
「回転性能」と「防塵性能」
「BB」の性能には、【回転性能】と【防塵性能】の2つの要素があります。
回転性能を高めるためには、BB内部のベアリングをより高性能なものにし、防塵性能を高めるためにはベアリング周辺のシール構造(=ブッシュやグリス)を充実させます。
ところが、防塵性能を高めるとシール構造が抵抗になって回転性能が低下します。かといって、回転性能を優先して防塵性能を落とすと、BB内部に水や異物が浸入しやすく、BBが錆びたり動きが悪くなるリスクがあります(本当にある)。
つまり「回転性能」と「防塵性能」は両立が難しいんです。
バランスが大事
パーツメーカーは基本的に「回転性能」を重視してBBを作っています。防塵性能も必要ですが、なにより回転性能が高くなければ選ばれないからです。それは何も悪いことではなくて、回転性能を重視したBBは確かに良く回ります。ただし、やはり防塵性能は低い傾向にありますよ。
私たち一般ユーザーが趣味で乗る自転車は、回転性能はもちろんですが、簡単には壊れたり・トラブルが起きない耐久性・防塵性能が必要です。どちらかと言えば「防塵性能」のほうが重視すべきで、一般用途にはなるべく「回転性能・防塵性能」のバランスが良いBBが適しています。
今回はシマノ「SM-BBR60」に交換
今回は「BB交換」の効果の検証にシマノのBB、SM-BBR60(105・アルテグラ共通品)を使用しました。従来のシマノのBBよりも回転性能が高められたBBです。
安価で性能バランスが良い「シマノのBB」
一般に、高価なパーツほど高性能ではありますが、「BB」の場合は性能と価格は必ずしも比例しません。
多くの自転車に採用されている「シマノ」のBBはとても安価(最上級グレードでも3千円台)で、しかも回転性能・防塵性能のバランスが良いです。
以前は「シマノのBBは回らない」なんて言われていましたが、シマノの「BB」はモデルチェンジを重ねるごとに改良されていて、現在は以前のものよりもずっと良く回るようになっていますよ。
BBを「SM-BBR60」に交換
今回は、私のミニベロロード「BIKE FRIDAY ニューワールドツーリスト」のBBをシマノの「SM-BBR60」に交換しました。
「SM-BBR60」はシマノのアルテグラ(6800系)および105(5800系)で共通のBBで、シール構造の見直しにより十分な耐久性・防塵性を確保しながらフリクション(=回転抵抗)を低減することに成功し、以前のモデルよりも回転性能が向上しています。
また、より徹底的なシール構造(防塵性能)をもつデュラエース(9000系)のBBと比べると、回転性能ではこの「SM-BBR60」のほうが回転が軽く・良く回るようです。
BB交換の効果
ペダリングが軽くなった
「BB」を交換したことによって、交換前と比べて明らかにクランクの回転が軽くなりました。
交換前(SM-BB4600)と交換後(SM-BBR60)で、ペダリングの平均負荷が「ギア1枚分」くらい軽くなりました。
感覚的には、平地でギア1.2枚分程度、登坂でギア0.7枚分程度の負荷低減です。
他の言葉で表現するなら、例えば手の平で「水をかく」のと「空気をかく」のでは、ずいぶん負荷が違いますよね。負荷の軽さ・動きの滑らかさの違いは、少し大げさに言うとそんなかんじです。
ケイデンスが上げ易くなった
クランクが今までより軽く・滑らかに回るようになったので、ケイデンスを上げるのが容易になり、高ケイデンスを持続させるのが楽になりました。
私はもともと高ケイデンスで回すスタイルなので、BB交換によってケイデンス自体が高くなったわけではありませんが、今までよりも脚がスムーズに回るのが気持ち良く、ケイデンスのコントロールがよりリニアに出来るようになりました。
登り坂・向かい風など高ケイデンスを維持するのがキツくなる場面で、今までよりも楽に回し続けられるので、結果的に「速度の維持」が楽になりました。
駆動系のトータルチューンでより高い効果
ペダリングの軽さ・滑らかさには「チェーン」も大きく関係するので、「BB」だけを交換するよりも、【BB】と【チェーン】を両方ともグレードアップしたほうが効果は大きいです。
以下の3項目を全て行なえば、駆動抵抗の低減に十分な効果が得られます。
- BBをグレードアップ
- チェーンをグレードアップ
- チェーンに高性能オイルを使用
順番はどれからでも良いですが、1つずつやっていくとそれぞれの効果がわかりやすいですよ。
BBの性能変化しっかりと実感したいなら、先にチェーンから手を付けたほうが良いでしょう。
ちなみに、私は先に「デュラエースのチェーン」と「高性能チェーンオイル」を導入していたので、BBの性能変化をはっきりと確認できました。
プラシーボ?いいえ、体感できるレベルです
【BB交換の効果】について、よく「プラシーボでしょ」とか「効果がわからない」という話を聞きますが、それはよほど感覚が鈍いか、交換するBBを間違えている(=性能アップしていない)かのどちらかだと思います。
BBの回転性能がワンランク上がれば、その違いは確実に体感できるはずです。
性能アップが体感できるのは「高ケイデンス時」
「回転性能」は、たくさん回っている時にこそ発揮されるので、比較的高ケイデンス(目安:100rpm~)でペダリングをしている時に回転の軽さが実感できます。
逆に、ゆっくりペダリングしている時にはほとんど効果がありません。
つまり、低ケイデンスで走ることは、回転性能を活かさないのと同じで、それではBB交換の意味がありません。
スピードアップにつながる?
BB交換そのものは、単純にスピードアップにはつながらない
BBの回転性能が上がれば、理論上は次のようなことが言えます。
- 同じ負荷でペダリングするなら、今までより速い速度で走ることができる。
- 同じ速度で走るなら、今までより楽にペダリングできる。
そして実際には、BBの性能アップによって楽にはなりましたが、それだけで走行スピードが向上したようには感じません。事実、スピードアップにはつながっていないのでしょう。
BB交換によって駆動効率が向上しても、「空気抵抗」や「転がり抵抗」と比べれば速度に与える影響が極めて小さいからだと思います。
それでも、ペダリングは確かに軽くなりますよ。
「楽にはなるけど、速くはならない」、これがBB交換の効果の不思議なところです。
「車の低燃費化」に似ている
これって、車の「低燃費オイル」の効果に似ています。フリクション低減によって低燃費・省エネにはなっても、エンジンの回転数とギアが同じなら走行速度は変わりませんよね。
それならばと回転を上げてしまえば、ふたたび燃料消費は増えて全然低燃費じゃなくなります。スピードを出すためにケイデンスを無闇に上げると、心肺の負担が増えてカロリー消費も増加します。
要するに、「同じように回すなら、いくらか楽に・省エネになる」。そんなかんじです。
ペダリングの「省エネ化」に効果があるので、体力が勝負のロングライド・ツーリングなどをする人は、やっておくと体力消耗や疲労感を軽減できるいくらかのアドバンテージが得られます。
スピードアップが目的なら、BB性能を活かしてケイデンスを上げろ!
心肺の負担とカロリー消費の増大をいとわずに、BBの回転性能を活かしてケイデンスを上げられるなら、スピードアップできます。
つまり、BB交換の目的が「楽をすること」ではなく「スピードアップ」なら、
回転が軽く・楽になった分だけケイデンスを上げること。
ケイデンスを上げれば、それは確実にスピードアップにつながりますよ。
BBを購入・交換する時のポイント
今よりも性能アップできるBBを選ぶ
BBの回転性能アップを狙うなら、ただ新しいBBに交換すればいいというものではありません。
いま装着されているBBよりも回転性能が高いBBに交換する必要があるので、交換前・交換後それぞれのBBの性能についてよく確認しましょう。ネット上のレビュー情報も参考になります。
性能バランスを考慮する
「回転性能を最重視したBB」は、防塵性能・耐久性が著しく低いものがあるので注意が必要です。
特に「セラミックベアリング」を採用したBBは水・異物の浸入に大変弱く、高価な上にデリケートです。高い回転性能は魅力ですが、一般用途向きとは言えませんね。
安心して使うためには「回転性能と防塵性能のバランスが良いBB」を選ぶのが良いでしょう。ある程度回転性能が高い製品であれば、その上の高級グレードとの差はそれほど大きくありません。
BBにはサイズ(幅)がある
BBにはサイズ(幅)が【68mm】と【70mm】の2種類があります。BBを購入するときは、必ず現在装着されているBBと同じ幅のものを選ぶ必要があります。
ミニベロやロードバイクの入門機では、ほとんどの場合【68mm】規格のものが装着されています。どちらのサイズか分からない場合は、お店で確認してもらいましょう。
交換作業はお店でしてもらうのがオススメ
BBの交換手順は単純ですが、やってみると意外と大変な作業です。BB本体の着脱には非常に大きな力を要するので、専用工具があっても一苦労です。
専用工具を持っていない人は、BB本体とは別に工具も購入する必要があり、慣れない作業をするのは大変だと思います。
そんな時は、BBの交換作業をお店でしてもらえば、別途工具を買う必要もなく手間も省けます。所定の作業工賃を支払う必要はありますが、BB交換の工賃は大体1000~2000円程度なので(お店による)、手間を考えると妥当な金額だと思いますよ。
自転車屋さんの店頭で買って、その場で交換してもらえば一番スマートだと思います。
まとめ
BB交換の効果は意外に大きいので、自転車の性能アップを図りたい人や、少しでも楽に走りたいと考えている人にオススメしたいカスタマイズです。
特にミニベロやロードバイクの入門機などに初めから装着されている「BB」は基本的に低グレードで回転性能が低いので、
自転車を買った時のそのままで乗っている人は、「BB」をより良く回るものに交換することで、かんたんに性能アップができますよ。
今よりも性能アップができるなら、どのメーカーのBBでも良いと思いますが、回転性能と価格のバランスが良くて防塵性能も高い「シマノのBB」がやはり誰にでもお勧めできますね。
BB交換は、こんな人に特にオススメ
現在シマノの「ティアグラ」「SORA」「クラリス」等の入門グレードのコンポーネントおよびBBを使用している人は、「105&アルテグラ」のBBに交換すれば確実に性能アップできますよ。価格も安いのでオススメです。
今回紹介したパーツ・用品
以上、BB交換の「効果」や「感想」「交換する際のポイント」などについてご紹介しました。
自転車のカスタマイズを考えている人の参考になればと思います。